母の願い「愛されるスケーター」証明 ライバルも応援

[ 2011年12月26日 06:00 ]

フィギュアスケート全日本選手権でずらりと並んだ浅田真央の横断幕

フィギュアスケート全日本選手権最終日 女子フリー

(12月25日 大阪・なみはやドーム)
 金メダルを獲得することよりも大事なことがある。浅田の母・匡子さんが生前、願っていたことがある。「成績も大事だけど、それよりもみんなから愛されるスケーターになってほしい」。母の思いが現実になったように悲しみを乗り越えて迎えた今大会、浅田は多くの人に支えられていた。

 「内心、そっとしておいてあげられたら、という気持ちがある」と話していた佐藤信夫コーチら浅田に近い関係者は、匡子さんの死には触れず普段通り接した。気丈に演じきった愛弟子を佐藤コーチは「想像を超えた苦しみがあったと思うけど、日頃の真面目な取り組みが助けてくれた」と称えた。浅田との師弟関係は2シーズン目。同コーチの妻、久美子コーチが白色のスケート靴を好むと耳にした浅田は、今季は長年愛用していたベージュから白に変えた。深い信頼関係で結ばれていることの表れだった。

 高橋、小塚ら選手も同様だった。22日の開会式では、仲間と談笑する浅田の姿があった。少しでも心を軽くしてあげようという配慮が感じられた。鈴木は「いろいろあった中で、いつも通り試合をしているのは素晴らしい」と後輩を気遣った。

 海外からも温かいサポートがあった。元コーチのタチアナ・タラソワ氏(64=ロシア)からは激励、バンクーバー五輪のSP直前に母を亡くしながら銅メダルを獲得したジョアニー・ロシェット(25=カナダ)からは悲しみを共有するメッセージが届いた。

 観客も同じ思いだった。演技前の練習では浅田がジャンプを決めるたびに「真央ちゃん、その感じ!」と声援が飛んだ。

 もちろん家族の支えは大きかった。この日、父・敏治さん、姉・舞は名古屋市内の自宅で好演技を祈っていた。匡子さんの思い描いた通り、浅田は間違いなく愛されるスケーターになった。

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2011年12月26日のニュース