森永卓郎氏 秋葉原無差別殺傷で死刑執行に思い…派遣労働者の環境「国会でもう一度話し合って」

[ 2022年7月27日 16:20 ]

経済アナリストの森永卓郎氏
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 独協大教授で経済アナリストの森永卓郎氏(64)が27日、ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー」(月~金曜前8・00)に生出演し、東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、殺人などの罪で死刑が確定した加藤智大死刑囚(39)の刑が26日、執行されたことを受けて、思いを語った。

 加藤死刑囚は08年6月8日、秋葉原の歩行者天国にトラックで突っ込んだ後、通行人たちを刃物で次々と刺すなどし、17人を死傷させた。加藤死刑囚がネット上でいじめに遭っていたことや、派遣労働者として勤務していた自動車工場から契約解除を言い渡されていたことなど、犯行にはさまざまな要因が絡み合っているとされ、社会的に大きな影響を与えた。

 森永氏は86年に施行された、労働者派遣法の法律作りに関わっていたという。当時は「有識者も含めて全員が、製造業と建設業は絶対(派遣を)やっちゃだめだというのが100%の総意」と説明し、「景気が悪くなると、一斉に派遣切りが起きて大変なことになるぞと言って、みんなそうだねと言っていた」と、その理由を説明した。

 しかし、04年の法改正で、例外扱いされていた製造業への派遣が解禁された。法改正の波にのまれ、結果的に派遣切りされたのが、08年の加藤死刑囚。森永氏は「小泉内閣でドーンと強行突破しちゃったわけです。結局、その4年後に案の定、(事件が)起きたわけです」と話した。

 事件後、犯行に使われたようなダガーナイフの所持を禁じる銃刀法の改正が行われたが、森永氏は「そういうことではないんです。本質は突然、仕事を失っちゃうというリスクにどう対処するのかを考えなければいけなかった」と、事件の根源的な問題にメスを入れなかった政府に疑問を呈した。

 加藤死刑囚の身勝手な凶行で命を落としたり、体や心に傷を負った被害者は大勢いる。パーソナリティーの垣花正アナウンサーが「もちろんいろんな苦しい状況があったり、どんなに追い詰めらても、彼はやってはいけないことをやった」と指摘すると、森永氏も「そうそう。100パー(セント)悪い」と同意した。その上で「(追い込まれた)人数がいっぱいいると、その中で一定の割合で、小さな割合なんですけど、凶行に走る人というのが確率的に含まれくるんですよ。だから、そこをちょっとしっかり国会でもう一度、話し合って欲しいなと私は思います」と、派遣労働者の労働環境改善への願いを口にした。

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2022年7月27日のニュース