第5局明暗この一手 永瀬「駆け引き」そぎ「技術」に信頼おく潔さ

[ 2021年3月3日 05:30 ]

スポニチ主催 第70期王将戦7番勝負第5局第2日 ( 2021年3月2日    佐賀県上峰町・大幸園 )

王将戦第5局第2日・A図
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 【明暗この一手 関口武史】封じ手明けすぐに局面が動いた。永瀬の△1八歩成(58手目)からの手順が機敏で香得の戦果をあげる。渡辺は誤算があったのか、表情が硬い。△3六歩(64手目)が、金銀の連携を崩しつつ馬の活用を可能にした好手で、形勢は永瀬に傾く。

 苦しい渡辺が▲3五桂(79手目)とこん身の勝負手を放つが、永瀬は△4二金~6二王(A図)が冷静な見切りで、優勢を確固たるものにした。「負けない将棋」というイメージを払拭(ふっしょく)するような最短を目指す方針が輝く。

 渡辺の▲5九金(83手目)の粘りにも△4七成香~4六馬~1四飛と全ての駒を使い、押し引きではなく切り飛ばす勢いのある手順で渡辺王を仕留めた。本局の永瀬は封じ手などの勝負としての「駆け引き」をそぎ落とし、将棋における「技術」そのものに信頼をおく潔さがあった。(スポニチ本紙観戦記者)

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2021年3月3日のニュース