勘三郎さんに続く悲報に「歌舞伎のスーパースターが…」

[ 2013年2月5日 06:00 ]

08年4月、成田山開山1070年を記念して、参道をお練り行列する市川団十郎さん(左)、海老蔵父子

市川団十郎さん死去

 団十郎さんの悲報に全国の歌舞伎ファンが衝撃を受けた。死去から一夜明けた4日、全国の劇場などゆかりの地を訪れたファンは「これからさらに活躍できたのに」と早過ぎる死を悼む一方、海老蔵に来月跡取りが誕生することに「しっかりと受け継いでいってほしい」と希望の光を見いだしていた。

 歌舞伎界では、さらなる活躍が期待される60代での死。団十郎さんゆかりの東京・浅草の浅草寺を訪れていた、さいたま市の山口富男さん(60)は「同年代ですが、歌舞伎では66歳はまだまだこれから。味がある俳優だったのに…」とぽつり。大阪市中央区の大阪松竹座でも、同市西成区の藤田瑞穂さん(74)が「後輩を指導するのに脂が乗った時で残念」。福岡市博多区の博多座では、同市東区の花田千代香さん(72)が「もう10年はやってほしかった」と悼んだ。

 東京・日比谷の日生劇場では茨城県土浦市の穴沢徹さん(73)が「天才で努力を惜しまなかった。勘三郎さんといい、スーパースターが相次いで去ってしまい残念」と、昨年12月に中村勘三郎さんが57歳で亡くなったのに続く悲報に肩を落とした。東京・銀座の歌舞伎座の再開場が4月に迫っており、東京都江戸川区の小林由紀子さん(66)は「歌舞伎界の大きな柱の2人が亡くなられて今後が心配。歌舞伎座も再開場するのに…」と心配そうに話した。

 一方、海老蔵や勘三郎さんの長男・勘九郎(31)ら若手に期待の声も。東京都世田谷区の主婦(65)は「これからは海老蔵さんや勘九郎さんや染五郎さんら若い世代が頑張って歌舞伎をもり立ててほしい」。東京都江東区の男性(67)も「今こそ勘九郎ら若手が盛り上げる時。力を発揮してほしい」と強調。海老蔵には3月に長男が誕生予定で、60代の男性は「跡取りが生まれるということなので、しっかりと歌舞伎を受け継いでいってほしい」と話した。

 ▼渡辺保さん(演劇評論家) 団十郎さんは線の太い、顔の立派な役者だった。例えば「仮名手本忠臣蔵」の勘平は悲劇を背負う色男で、団十郎さんが演じると、いかにものんびりと江戸時代の二枚目らしさがあった。つややかさというか、現代的な感覚とはまた違った良さが真骨頂だった。

 ▼瀬戸内寂聴さん(「源氏物語」の舞台化などを通じて親交があった作家) 歌舞伎の大黒柱のような方を失い、本当に心細い限りです。役者としてだけでなく、統率力と演出力もあった。常に歌舞伎全体を考え、自分がこれからの歌舞伎を背負って、引っ張っていかなければならないという使命感を持つ方でした。今は団十郎さんがいなくなった後の歌舞伎が考えられません。

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2013年2月5日のニュース