勘九郎&七之助 亡き父のファンに誓った「魂と遺志を引き継ぐ」

[ 2012年12月27日 17:17 ]

中村勘三郎さんの遺影の前で参列者へあいさつする喪主で長男の勘九郎(中央)。右は次男七之助、左は松竹の大谷信義会長

 急性呼吸窮迫症候群のため5日に57歳で亡くなった歌舞伎俳優・中村勘三郎(なかむら・かんざぶろう、本名波野哲明=なみの・のりあき)さんの葬儀・告別式が27日、東京都中央区の築地本願寺で営まれた。

 喪主を務めたのは勘三郎さんの長男中村勘九郎(31)と弟の七之助(29)。5日に父が亡くなり、京都・南座で公演「吉例顔見世興行」を26日の千秋楽まで務め、「一日一日の舞台をきちんと務めることを心がけてやっていました」と勘九郎。この日は早朝から父のゆかりの地を巡り、「(浅草の)中村座に行ったんですけれど、沿道で道行く人たちが手を合わせてくれた。すごい人だなぁっていうのは改めて感じましたね」としみじみ。七之助は本葬で亡き父の舞台映像を見て、「父とまたここに立ちたかった」と本音を漏らした。

 舞台のため、11日の密葬に参列できなかったことには「逆にありがたかったですね」と口をそろえた。「稽古で積み重ねた肉体が消える。役者って身体で勝負してるから火葬場には行けなくてよかったです」と勘九郎が言えば、「とてもじゃないけど行けなかったと思います」と七之助も同調した。

 多くの人から愛された勘三郎さんの本葬には一般ファン1万人も弔問に訪れ、「感謝だとか思いやる気持ちがなければ愛してくれないでしょうから、自分たちもそういう人間に少しでもなれたらいいなと思います」(勘九郎)。「あきらめないこと、心の底から歌舞伎を愛すること。見習わなくちゃいけない」(七之助)。

 「僕たちもまだまだですけど、2人いるって強みを、皆さんに助けてもらいながら歌舞伎を続けていきたいですね。一緒にやりたかったですけどね」と勘九郎。全国の亡き父のファンに、「父の舞台はもう見られないですけど、僕たちがその魂と遺志を引き継いで、皆様の元に伺いたいと思います」と誓った。

続きを表示

この記事のフォト

2012年12月27日のニュース