【スポニチスカウト部(3)】明大・菊地竜雅 最速156キロも登板0「超秘密兵器」

[ 2024年2月27日 06:00 ]

最速156キロの直球を武器にリーグ戦初登板を狙う(撮影・柳内 遼平)
Photo By スポニチ

 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第3回は、明大の最速156キロ右腕・菊地竜雅投手(3年)。東京六大学野球リーグ戦では登板0の「超秘密兵器」が大学最終年にベールを脱ぎ、ドラフト戦線に躍り出る。

 高校時代に逸材と騒がれた選手でも、大学野球で「消える」ことがある。明大・菊地もその危機に直面した。常総学院では完成度の高いプロ注目の存在として、3年夏には152キロをマーク。明大でも期待されたが、3年間を終えて登板はまさかの0。理想の未来と、現実は違った。

 「高校を引退した後、肩に違和感が出ました。そこからは治りかけて、また投げて、また再発して…それを2、3回繰り返した。今は痛みなく投げられています」

 完治したのは2年秋。巻き返しを狙ったが実戦マウンドから離れていたブランクが、制球難を招いた。昨年、オープン戦で思うような結果を残すことができず、リーグ戦登板を果たせぬままシーズンを終えた。

 大学最終学年での「覚醒」を懸けた静岡キャンプは14日、沼津で始動。田中武宏監督は「競争の中にいる選手なのでチャンスを与えます」と奮起を期待した。今秋ドラフト1位候補の遊撃手・宗山塁主将は「やっぱり一番は真っすぐ。リーグ戦で軸になってくれれば投手陣はさらに厚くなる」と語る存在で、その秘めた力は見れば一目瞭然。実績は皆無とも言っていいが、社会人野球の強豪チームから練習参加のオファーが相次いでいる。

 投げられない分、体づくりに励み、1メートル82、95キロのたくましい肉体を手に入れた。最速も高校時代から4キロアップの156キロ。制球難も「体のブレをなくした」と修正したことで改善。視界良好の春を過ごし「菊地だったら“ここ一番で任せられる”という投手になりたい」と誓った。

 昨年のリーグ戦で主戦投手として活躍した村田賢一はソフトバンク、石原勇輝はヤクルト、蒔田稔はJFE東日本へ活躍の場を移した。明大が再び、頂点に立つためには菊地の力が必要だ。(柳内 遼平)

 ≪“まさか”の敗戦が進学のきっかけに≫静岡キャンプ初日の練習後「なぜ高校の時にプロ志望届を出さなかったのか」と質問した。菊地は隠すこともなく説明してくれた。「高校2年夏にプロ志望届を出す決断をした」。だが、2年秋の関東大会が転機になった。初戦で菊地を温存し、9回にまさかの3失点で逆転負け。登板しなかったことで、身に覚えもない制球難に陥った噂も浮上した。春季大会で「潔白」を証明しようと意気込んだが今度は新型コロナウイルスで中止に。春までに評価を上げきれなかったことや、名門・明大に進む道が開けたことで大学進学を選んだ。

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年2月27日のニュース