日の丸の重みで芽生える自覚 侍ジャパンの楽天・早川に期待される成長

[ 2023年11月19日 08:00 ]

<オーストラリア・日本>5回まで無安打投球の早川(撮影・尾崎 有希)
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 楽天の今江敏晃新監督(40)もきっと目を細めていたことだろう。「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」の予選リーグ最終戦・オーストラリア戦で、侍ジャパンの先発・早川隆久投手(25)が5回を完全投球という圧巻の快投で、勝利の立役者になった。

 高校、大学と世代別の日本代表に選出されてきたが、プロ入り後に日の丸を背負うのは今大会が初めて。若手選手中心のメンバー構成とはいえ、今回の経験は早川の野球人生において大きな転機になるかもしれない。

 「来季もこの経験を生かして、楽天の中でも引っ張っていけるような存在になれれば。これからは楽天は若手が出ていかないとこの先ないかなとも思う」

 投球後の頼もしいコメントを一番喜んでいるのは、今江監督なのではないだろうか。早川が「井端ジャパン」に選出されたことが決まった際、期待を込めて次のように話していた。

 「本当に凄く良い経験になる。ジャパンに選んでもらったことは一皮むけるチャンス。自覚が出るきっかけにしてほしい」

 今江監督も06年の第1回WBCで侍ジャパンの初優勝に貢献しており「あの時の経験が後の野球人生に大きく生きている」と振り返る。国を代表して戦うということはアスリートとして最高の栄誉だ。同時に大きな責任も伴う。日の丸の重みを全身で感じることで自覚が芽生え、競技者としても人間としても成長することができる。今江監督は身をもって経験した一人だ。

 早大のスーパーエースだった早川が鳴り物入りでプロ入りしてから3年が経つ。1年目は9勝を挙げたが、以降は5勝、6勝と不本意なシーズンが続く。未来のエース候補と目される左腕の力はこんなものではないはずだ。だからこそ、今江監督は「一皮むけてほしい」という言葉でジャパンに送り出した。

 岸や則本といったベテランは健在だが、先発陣の世代交代は不可欠だ。まさに早川は「新生イーグルス」の象徴となるべき存在で、来季は真価が問われるシーズンになる。オーストラリア戦の言葉は、きっと彼なりの決意表明だったのだろう。(記者コラム・重光 晋太郎)
 

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