阪神の強さ 「2死無走者」からの決勝点は開幕から7度目 佐藤輝は30打点で一気にセ単独トップに

[ 2023年5月26日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神7-4ヤクルト ( 2023年5月25日    神宮 )

ヒーローインタビューを終え、ポーズを決める佐藤輝(撮影・平嶋 理子)
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 阪神が25日のヤクルト戦で延長10回の競り合いを制し、2度目の5連勝に伸ばした。近本光司外野手(28)の中前打を起点に満塁とし、大山悠輔内野手(28)が決勝の押し出し四球を選び、佐藤輝明内野手(24)が走者一掃二塁打で突き放した。9回に逆転した前夜に続く「2死無走者」からの粘り腰で今季最多の貯金14。2位・DeNAに今季最大の4ゲーム差をつけ、首位での交流戦突入が確定した。

 7球で2死を取られた延長10回。こんなドラマが待っているとは誰が予想できただろうか。鮮やかに幕を開いたのは近本だ。2球で追い込まれても脳内はクリアだった。

 「いつも通り、余裕を持って。多分三振はないな…と思った。出塁を考えるというか、自分のスイングができるように…と」

 星の6球目の低めのフォークをすくい、中前へ。この一打で一気に風向きが変わった。1ボールからの2球目にはリーグ最多に並ぶ5盗塁目の二盗。一塁が空いたことで中野は申告敬遠で勝負を避けられ、代わった木沢からノイジーが右前へ軽打して満塁ができた。

 この時点で決着が見えた。岡田監督は「これは、まあ、押し出しやなあと思った」と予感。大山は打席に立つだけで圧倒した。「三塁走者を還すだけだった。投手を気持ちよく投げさせないように工夫した」。一度もスイングする必要がなく、4球連続のボールで決勝の押し出し四球を選んだ。

 佐藤輝も続いた。カウント2―2から高めに浮いたスプリットを左中間深くへはじき返し、走者一掃二塁打で猛攻を締めた。「追い込まれていたので、しっかり食らいつこうと思った。本当にチームの流れが打たせてくれている。本当にいい流れで来ている」。9回2死無走者から生まれた一、三塁から逆転二塁打した前夜に続く快打。2安打3打点で30打点まで伸ばし、一気にリーグ単独トップに躍り出た。

 1番が突破口を開き、つなげる2、3番がいて、背中で引っ張る主砲が4番に座る。そして5番が打点を荒稼ぎ――。8番・木浪を起点にした春先とは違う王道の攻撃でリーグ2連覇中のヤクルトを押し切った。「2死無走者」からの決勝点は開幕から7度目。特に今回5連勝中は3度を数え、すべて9回以降という終盤の粘り腰が光る。「多いよな。一人出たら、後ろがうまいことつないで打っているから」。岡田監督は満足そうにうなずいた。月間15勝は21年4月の17勝以来。まだ100試合ある。試練の夏場もある。そんな数多くのハードルすら難なくクリアしそうな、真の強さが備わってきた。(八木 勇磨)

【データ】
 ○…阪神が延長戦を制して5月15勝目。月間15勝以上は21年4月(17勝)以来。月間最多勝利は64年8月、68年8月の19勝で今月残り5試合に全勝すれば球団記録更新となる。阪神が延長戦でヤクルトに勝利したのは19年3月29日以来、神宮に限れば16年7月13日以来7年ぶり。また、交流戦前のリーグ首位が確定。セ首位で交流戦を迎えるのは08、21年に次ぎ3度目。

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