イチロー氏 ノックで伝えた大切なこと「みんなで励まして。この感じ、忘れないで」 静岡・富士高を指導

[ 2022年12月4日 17:51 ]

部員にノックをするイチローさん
Photo By 代表撮影=共同

 マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(49)が4日、静岡・富士高で選手指導を行った。3日から訪問し、2日間指導した。イチロー氏が高校生を指導するのは、20年の智弁和歌山、21年の国学院久我山、千葉明徳、高松商、今年の都新宿に続き6校目。

 指導2日目となった4日も、フリー打撃を生徒の前で実演するなど精力的に指導にあたった。フリー打撃後には生徒からの要望もあってブルペンへ向かって投手も指導した。

 イチロー氏が自ら内野ノックもした。三遊間で守る生徒に向かって1人10本。8球目以降にエラーするとまた8からカウントし、8球目以降はノーエラーでないと終われないルールを設定した。「僕の体力が持つ限りやろう」とバットを振り続けた。

 最初は内野手だけの予定だったが、途中で外野手も入りたいとイチロー氏にお願いし、結局選手19人全員が参加した。グラウンド整備をする時間も含めて合計50分ほど。イチロー氏はこのノックで449スイングし、「前に!」「ナイスプレー!」「諦めるのが早い!」「頑張れ!」などと大声で選手を叱咤激励しながら打ち続けた。

 ノックを受ける選手だけでなく、周りの生徒たちも声を出して励ます姿があった。初日はイチロー氏が「明日、声を出してほしい」と要望するなど元気がない生徒に奮起を促したが、この日は成長した姿を見せた。途中でイチロー氏も変化を感じ取ったようで「今の感じ、すごくいいよ。そのエネルギー。その感じで毎日、練習に取り組んで下さい」とうなずいた。途中、取り終わった生徒が一人、イチローさんのところに駆け寄り「いい思い出になりました」と涙ぐみながら感謝する光景もあった。緩急をつけ、左右に振られながらのノックに、生徒はユニホームを泥まみれにして食らいついた。

 ノックを終え、イチロー氏は「今、その感じ、昨日の最初より、全然違う。みんなで励まして、チームの感じがするでしょ。この感じ、忘れないで。勉強でも大変だと思うけど、壁に立ち向かっていけるように、今日のこの感覚を忘れないで」と言葉を残した。

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