MLBベテラン記者がシフト禁止などのルール変更を大歓迎「過去20年間野球は間違った方向に行っていた」

[ 2022年9月10日 12:06 ]

来季から導入する新ルールを伝えるMLBツイッター(@MLB)

 来季からの導入が決まった新ルールについて、MLBネットワークのトム・ベデューチ記者が9日(日本時間10日)賛成意見を述べた。「この20年間、MLBの野球は間違った方向に行っていたが、来年は変わる。選手たちも最初の1、2か月は戸惑うだろうが、気に入ると思う」と話した。

 MLBでは07年をピークにシーズンの観客動員数が1100万人も減っているが、それは試合時間が長いのに、その中で起こるアクションが少ないことが一因。打球が前に飛ぶのを見るのに80年代半ばは平均2分50秒だったが、今では4分もかかる。「今回のルールはアクションを増やすべくデザインされている」と指摘する。

 これに対し、ネットワークの解説者で、WBC米国チームの監督に選ばれたマーク・デローサが「シフト禁止はどうかと思う。私は現役時代、バリー・ボンズやウラジーミル・ゲレロを守るのに、土の上には立ちたくなかった。それでは守れない。球団は払えるサラリー総額で差が出るのだから、作戦で守り方を工夫するのは許されるべき」と私見を述べた。

 ベデューチ記者は「シフトが始まった頃は、使うのは一部のチームに限定されたが、今では全球団が使う。シフトの目的はヒットを奪い取ること。普通のゴロだけでなく、強い当たりまでアウトになっている」と言う。2015年以降、シフトが使われていない状況でのゴロの打率は・252だが、シフト下では・216。100マイル以上の強打のゴロでも・446が・362に下がってしまう。「打者はシフトを越えないとと打ち上げ、結果的に空振りが増える。MLBも、NFLやNBAのように毎年攻守のバランスをチェックして、等しくする工夫が必要」と説明した。

 さらにベデューチ記者は別の理由も挙げる。「私は、かつてのように身体能力の高い内野手や外野手が守備範囲の広さを披露するプレーが見たい。シフトでそれがなくなっていた。二塁手にアスリートが起用されなくなっていたが、再び身体能力の高さが求められるようになる」と言う。ベースが大きくなることについても「一、二塁間、ニ、三塁間が4・5インチ(11・43センチ)短くなり、マイナーでは盗塁を試みる回数が27%増えた。メジャーの試合では近年走塁でのリスクを回避するようになっていたが、以前のように盗塁の多い試合に戻したい。今回のルールは、野球を発明し直すのではなく元に戻すということ」とした。

 投球間に時間制限を設けるピッチクロックについても「最初は打者は打つ準備ができていないと言い、投手も投げ急がされていると不平を漏らすだろう。しかしアジャストできるし、普通になる」と見る。そもそも一連のルールは既にマイナーの試合で導入されてきたから、今メジャーにいる8割の選手は経験済み。ベテラン、メジャーリーガーのマット・カーペンターは、今季序盤はマイナーにいて「最初は嫌だったけど、このルールでプレーしてみたら悪くない。野球にとって良いこと」と話しているそうだ。

続きを表示

2022年9月10日のニュース