オリックス・椋木 快投劇の土台は独特の投球フォーム

[ 2022年7月29日 08:00 ]

オリックス・椋木
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 着実に「投手王国」への段階を踏んでいるオリックスに、期待の新戦力が潜在能力を示した。ドラフト1位・椋木蓮投手(22)だ。

 京セラドームで躍動する背番号15に、“快挙の気配”が漂ったのがデビュー2戦目だった7月20日の日本ハム戦。150キロ超の直球にシュートの軌道で沈むフォーク、空振りを奪えるスライダーを投げ分けて相手打線を翻弄(ほんろう)。初回の近藤から5者連続三振を含む、自身初の2桁11三振を記録するなど、9回2死まで無安打投球を披露した。

 「(アマ時代を含めて)完投もしたことないです。打たれた時は悔しかったけど、まだプロ2戦目。ここで達成して天狗になるのもよくないし、いい経験だったと思います」

 あと1人、あと1球というところで、日本ハム・佐藤に中前打を許した。史上87人目、パ・リーグ新人投手に限れば54年山口登(近鉄)以来68年ぶり2度目となるノーヒットノーランこそ逃したが、8回2/3を1安打零封で球団新人では2リーグ制以降で初のデビュー戦から先発2連勝は、大きな価値がある。

 振り返れば、プロ初登板も見事だった。7月7日の西武戦で6回無失点で初勝利。新人離れした落ち着き払った表情で、自己最速にあと1キロと迫る153キロを計測。スライダー、フォークを武器に散発2安打、7奪三振。球団新人の初登板勝利は18年田嶋以来、右腕に限れば89年の酒井勉以来33年ぶりだった。

 快投劇の土台には、独特の投球フォームがある。スリークオーター気味で腕が遅れて出てくるため、初見での対応が難しいようだ。中嶋監督は「強さもそうですし、独特な軌道の真っすぐ、リードしがいのあるボール」と言った。現役時代に、松坂大輔氏や日本ハムだったダルビッシュ(パドレス)とバッテリーを組んだ指揮官の言葉から、右腕の豊かな将来性を予感させる。

 7月25日にコロナ禍で離脱したが、オリックスの次代を担う逸材の1人。大混戦のパ・リーグで、エースの山本に山岡、左腕の田嶋、宮城ら充実の先発陣は間違いなく「強み」。さらなる厚みを加える椋木が、後半戦のキーマンになりそうだ。(記者コラム・湯澤 涼)

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2022年7月29日のニュース