【プロ野球・球宴名場面 番外1】ハプニング連発の91年…野茂代打、槙原Tシャツ登板、レフト工藤

[ 2022年7月26日 17:00 ]

1991年練習用のTシャツで登板した巨人・槙原
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 2リーグ分立翌年の1951年にセ・リーグとパ・リーグの対抗方式で産声を上げ、今年で72回目を数えるプロ野球「マイナビオールスターゲーム2022」が7月26日(福岡PayPayドーム)27日(松山・坊ちゃんスタジアム)に開催される。昭和から平成、令和…巨星たちが数多の名勝負を繰り広げてきた真夏の球宴。野球ファンの記憶に刻まれた名場面ベスト10(スポニチ選定)と番外編を紹介する。(所属、球団名、登録名、球場名は当時)

 ■1991年第2戦=7月24日

 ハプニング連発の球宴といえば91年広島市民球場で行われた第2戦。3―3のまま延長に入って12回、巨人・槙原寛己がリリーフカーに乗って出てきた。だがどこかそわそわしている。マウンドに上がるとその理由が判明した。「GIANTS」のロゴは入っているがユニホームの上着が何と…Tシャツだったのだ。

 裏事情はこうだ。槙原は前日の第1戦で先発した。東京ドーム開催だったが、パのホームゲーム(日本ハム)だったことから槙原はビジターユニホームで出場している。2回を無安打無失点で優秀選手賞を獲得。100万円をゲットした。「まさか出るとは思わなかったもんで」(槙原)第2戦のホーム用ユニホームを持たず広島に移動した。全セは9回途中から森田幸一が登板したが試合は延長へ。11回を投げ終えたところで交代せざるを得ない状況となった。槙原がTシャツしか用意していないことを聞いた全セの藤田元司監督(巨人)は他の選手に登板を打診したが拒絶され、恥を承知で身内を登板させざるを得なかった。

 槙原が2死一塁までこぎつけたところで次の事件が起きた。カウント2―2から秋山幸二(西武)が自打球を右目上部に当てこん倒。担架で運び出された。全パのベンチにもう控え野手はいない。森祇晶監督(西武)が代打に指名したのは野茂英雄(近鉄)だった。中嶋聡(オリックス)からヘルメットを借りて登場するとソウル五輪でバッテリーを組んだ古田敦也(ヤクルト)に苦笑いであいさつ。結局バットを振らず三振となったが球場は笑いに包まれた。

 その裏、控え野手のいない全パは左翼に入っていた愛甲猛(ロッテ)を中堅に回し、左翼に工藤公康(西武)を起用した。最後の打者・駒田徳広(巨人)の左中間への当たりを愛甲が横取りするようにキャッチ。工藤に守備機会はなかったが、全パベンチは大盛り上がりだった。

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