金本知憲氏 球宴は技術向上のチャンス 生きる教材を見て話して吸収して、成長につなげよ

[ 2022年7月26日 07:15 ]

金本知憲氏
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 【金本知憲 虎への金言】コロナ下ながら、2年連続でオールスターゲームが開催されることをうれしく思う。当然、シーズン中とは異なり、お祭りムード。今でもプロ4年目の1995年に監督推薦で初出場させていただいたことは鮮明に覚えている。09年まで計11度出場させていただいた。今振り返ると、とても楽しかった思い出ばかりだ。

 その記憶からも特に若手選手にとっては刺激になる舞台。普段はあまり話す機会のない他球団の選手たちと話すこともある。また、話しかけられることもある。ポジションにかかわらず、野手であっても投手や捕手と会話する機会もあるだろう。

 前半戦の振り返りではないが、舞台裏では捕手から「シーズン中のあの時は、あの球を狙っていたの?」などと聞かれることもあった。ただ、後半戦も含めて今後の戦いが控えている理由から本音は隠し、お互い腹の探り合いのような駆け引きもある。それも楽しみの一つ。ただ、オールスターであっても打席に入れば真剣勝負だ。

 今年、阪神から野手では大山、近本、佐藤輝、中野が出場する。他球団の選手の打撃練習を間近で見たり、打撃の話をしたり、吸収できることは多くある。実績のある選手たちに「どんな練習をしているのか」、「どんな考えで取り組んでいるのか」などと遠慮せず、積極的に聞けばいいと思う。生きる教材が目の前にいるだけに、貴重な機会を生かしてほしい。

 私も若手の頃は先輩方に、いろいろと話を聞かせていただいた。一方で、年を重ねるごとに質問されることが多くなっていた。質問する側から質問される側へと立場が逆転。若手の頃はいろいろと教えていただいたように、捕手との駆け引きとは異なり、その部分は包み隠さずに質問されれば伝えていた。

 個人的な技術の向上へ向けては多くの選手たちと話すことは大切だ。その中から取捨選択して自分のものにする。それが今後の成長に必ずつながる。29日からはレギュラーシーズンが再開される。シーズン再開後に「実はオールスターのときに…」と秘話が聞けることも楽しみにしている。そして何よりファンの方々に楽しんでもらえる夢舞台となることを心から願っている。(スポニチ本紙評論家)

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2022年7月26日のニュース