【プロ野球・球宴名場面(7)】古田がNo.1捕手へと飛躍した史上初のサイクル安打

[ 2022年7月26日 16:00 ]

1992年7月12日、9回2死、中越えへ二塁打を放ち、サイクル安打を達成し大喜びするヤクルト・古田
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 2リーグ分立翌年の1951年にセ・リーグとパ・リーグの対抗方式で産声を上げ、今年で72回目を数えるプロ野球「マイナビオールスターゲーム2022」が7月26日(福岡PayPayドーム)27日(松山・坊ちゃんスタジアム)に開催される。昭和から平成、令和…巨星たちが数多の名勝負を繰り広げてきた真夏の球宴。野球ファンの記憶に刻まれた名場面ベスト10(スポニチ選定)を紹介する。(所属、球団名、登録名、球場名は当時)

 ■1992年第2戦=7月19日

 88年ソウル五輪で銀メダルを獲得してから4年後の真夏。ヤクルト・古田敦也はプロ野球ファンが見つめる中、史上初の快挙を達成した。舞台はこの年からロッテの本拠地となった千葉マリン。古田にとっては3度目の夢の球宴。

 第1打席、前田幸長(ロッテ)から右中間へ三塁打。3回にはソウルでバッテリーを組んだ石井丈裕(西武)から中前打。5回も石井から右翼ポール際へ。「神風を吹け~」と叫んで走った執念がボールをスタンドまで運んだ。第4打席は右飛に倒れたが、9回2死、5打席目が回ってきた。相手は地元の河本育之(ロッテ)。打球はセンター上空に伸びていく。「あっ捕られるかな」と思ったが、ジャンピング・キャッチを試みた名手・秋山幸二(西武)のグラブをかすめて人工芝の上に落ちた。二塁ベースを回った古田は返球を確かめながら三遊間のあたりから二塁ベースへ戻った。この年42年目を迎えた球宴史で誰も成し得なかったサイクル安打を達成した。

 「二塁を回ったところでどうしようかなと思ったけど…。でもあんなところで打てるなんて自分が一番ビックリしていますよ」

 初めてファン投票で選ばれた91年第1戦では3盗塁を刺しMVPを獲得。公式戦ではセ・リーグ初の捕手首位打者に輝いた。大記録達成で2年連続のMVP。加えてコミッショナーの大記録に対する特別賞を獲得。300万円を手にするとともに「プロ野球No.1捕手」へと駆け上がる大きな一歩を記した。

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