主将と生徒会長の二刀流 古川学園・伊藤大斗が決勝打 父が甲子園出場を果たした東北にリベンジ誓う

[ 2022年7月14日 18:22 ]

第104回全国高校野球選手権宮城大会・2回戦   古川学園4―3石巻工 ( 2022年7月14日    石巻市民 )

両親の前で決勝打を放った伊藤(中央)(撮影・柳内 遼平)
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 必ず父の忘れ物を取りに行く。古川学園の伊藤大斗(やまと)主将(3年)の父・徹さん(48)は、東北の捕手として91年夏の甲子園に出場。3年時には主将も務めた憧れの存在。最後の夏に「どうにかお父さんを超えたい」と父が果たせなかった聖地での勝利&安打を狙う。

 1メートル77の二塁手は7番打者として下位打線をけん引。6回に左翼戦へ先制二塁打を放つと、3―3で迎えた延長11回は右中間へ決勝三塁打。3安打2打点の活躍に「打てない気がしなかった」。勝負強さには理由がある。

 野球部の主将ながら学校では生徒会長を兼ねる「二刀流」。文化祭などの行事では全校生徒の前で即興のスピーチを任されるなど「大舞台」の場数を踏み「人前でしゃべることが得意。まとめる能力がついた」と主将としての能力も高めた。

 大好きな野球には少しだけ遠回り。乳製品へのアレルギーが完治する小学3年まで本格的に野球を始めることができなかった。呼吸困難などの症状で入院を繰り返した末につかんだ白球を追う日々。一塁側内野席で見守った父は「体が弱くて小さくて心配だったけどよく育ってくれた」と言った。

 昨秋と今春は父の母校・東北に敗れ「また戦えるように勝ち進みたい」と同校初の甲子園出場へ燃えている。お互いが勝ち進めば準決勝で激突。母校にリベンジしても父は笑って許してくれる。(柳内 遼平)

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2022年7月14日のニュース