カブス・誠也はボンズ級!3四球選び11戦連続出塁 驚異の出塁率.581で両リーグトップ

[ 2022年4月21日 02:30 ]

ナ・リーグ   カブス5―6レイズ ( 2022年4月19日    シカゴ )

<カブス・レイズ>3四球を選び、11試合連続出塁となったカブス・鈴木(AP)
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 カブスの鈴木誠也外野手(27)は19日(日本時間20日)、本拠地でのレイズとの交流戦に「2番・右翼」で出場。1打数無安打でデビューからの連続試合安打は9で止まった。一方で3四球を選び11試合連続出塁を継続し、出塁率は両リーグトップの・581にまで上昇。シーズン出塁率・580以上は過去2度で、いずれもMLB最多通算762本塁打のバリー・ボンズがマーク。ボンズ級の存在感を発揮している。 

 かがんでフットガードと肘当てを外す。まるでVTRのようだ。7回2死三塁、鈴木が7球目の内角高めの直球を見逃し、この試合3つ目の四球。表情を変えないまま一塁へと向かった。

 5―6で敗れ、取材対応がなかった鈴木をデービッド・ロス監督が称えた。「スイングしたかっただろうが、よくボールを見ていた。選球眼がとても良い。振るべき球を理解している」。両リーグ2位タイの12四球で、前日は両リーグ3位だった出塁率・564は、・581まで上昇しトップに立った。MLBでシーズン出塁率が・580を超えるのは04年に・609、02年に・582をマークしたボンズのみだ。

 唯一、四球ではなかった3回は二ゴロ。球団タイ、日本選手タイだったデビューからの連続試合安打は9で止まった。だが、安打なしでも3出塁で、開幕から11試合連続出塁。3四球はいずれもフルカウントまで粘った。4打席で計24球を投手に投げさせ、ボール球に手を出したのはゼロ。昨年まで広島の主砲として、駆け引きに重きを置くセ・リーグの投手と勝負してきた。誘い球に耐え、好球必打が鉄則。力勝負が多いとされるパ・リーグ出身のエンゼルス・大谷が、積極的に打ちにいくスタイルでメジャー通算出塁率・350なのは対照的だ。

 高い出塁率でチーム最多の9得点。1・0を超えれば優秀とされる出塁率と長打率を足した指標「OPS」も、両リーグ2位の1・478だ。チームの枠を超えた、メジャーの要注意打者。試合前にはジェド・ホイヤー編成本部長が「彼がやっていることは驚くべきこと。はるかに予想以上。面白いチームメートで、見ていて楽しい」と絶賛した。

 メジャー初の2番での出場。入団会見での鈴木の「マイク・トラウト、アイ・ラブ・ユー」の冗談を念頭に、指揮官は「2番は私の好み。トラウト(エンゼルス)が2番を務めているのは、私にとっていいセールスポイントだった」とした。

 週間MVPを獲得した前日、鈴木は「たかが1週間。続けなければ意味がない」と言った。我慢強い打者は「ペイシェントヒッター」。忍耐強くメジャー1年目を乗り越える。(笹田 幸嗣通信員)

 《日本時代の最高は19年の.453》MLBシーズン出塁率の歴代最高は04年B・ボンズ(ジャイアンツ)の.609。鈴木の日本時代の通算出塁率は.414で、最高は19年の.453だった。そのシーズンは自己最多となる103四球。ちなみに、NPBシーズン出塁率トップは落合博満(ロッテ)で86年の.487。2位も落合で85年に.4806、次いで85年バース(阪神)の.4805となる。また鈴木はデビューから11試合連続出塁。1958年のトニー・テイラーと1902年のアート・ウイリアムズと並ぶ球団タイ記録となった。

 ▽Patient Hitter(ペイシェントヒッター) 直訳すると、「我慢強い(patient)打者」。(1)初球は見逃す傾向が強い(2)ボール球は振らない(3)ストライクでも得意なゾーンに来るまで手を出さない――打者を呼ぶ。代表例はナショナルズの強打者ソトで、昨季はリーグ最多145四球で、ボール球を振る確率15.1%も両リーグで最も低かった。対照的に初球から狙い球を定めずに振っていく打者は「Free Swinger」と呼ばれる。

 ▽出塁率 打者の出塁割合を示す数字。安打、四死球で出塁した割合を示している。計算式は(安打+四死球)÷(打数+四死球+犠飛)。犠打は計算式から除かれており、出塁率に影響はないが、犠飛の場合は出塁率が下がる。また失策も打数が1増えるだけなので出塁率は下がる。

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