こだわったデータ分析 国学院大ナインを支えた副将・和地新太「プレー以外でチームに貢献できることを」

[ 2021年11月25日 07:40 ]

和地がナインに提供した配球データ
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 10月30日。前日に神宮でリーグ優勝を決めた国学院大の副将・和地新太(4年)は、福島県のいわきグリーンスタジアムにいた。目的は東北地区代表決定戦の視察。東北代表チームと、明治神宮大会の初戦で戦うことが決まっていたため、データの収集に足を運んだ。

 俊足を生かしたプレースタイルで、外野のレギュラーをつかみかけていた。ところが、今年1月に左足中指を疲労骨折。春先に復帰したが、今度は右肩関節唇を痛め、離脱した。「副キャプテンだし、試合に出て活躍したいと思っていた。でも、それが難しいとなって、プレー以外でチームに貢献できることをやらないといけない。そう思うようになった」。

 10数人で構成されるデータ班のまとめ役。リーグ戦中は各大学の投手の奪三振集、被安打集などを編集し、ナインに配った。「どういう配球で三振を取っているとか、どういう球をヒットにされているとか。それを集めた方がイメージしやすい。鳥山監督からも“こういうの作れないか?”と依頼もあった」。持ち球や球速、フォームの特長、初球の入り方、得点圏での攻め方などはグラフにまとめた。試合中には「投手が代わった際には、みんなに“こんな感じ”というのを伝えたり」と、狙い球を絞りやすくなるような助言をした。

 今秋の亜大2回戦。神宮に向かうバスの中で主将の福永奨(4年)と、亜大の右腕・青山美夏人(3年)の映像を見ていた。他チームの中軸にカーブを2球続ける配球があったことを思い出した和地は「カーブが来たら、次も狙ってもいいかも」と伝えた。0―1の2回、打席に入った福永は、2球続いたカーブを左翼席に運んだ。ベンチに戻った福永から「カーブ、来たわ!」と感謝された。

 足立第11中の軟式野球部でチームメートだった上武大・ブライト健太(4年)は中日からドラフト1位指名を受けた。「高校は違いましたけど、家が近所で、帰って来る時間も同じくらいだった。夜、一緒に素振りしましたね。去年はコロナで寮が閉鎖したときは、河川敷で練習していた。ドラフト1位で驚きました」と切磋琢磨したライバルの1位指名を喜んだ。

 軽くなら投げられる肩は、引退後に手術も検討している。「草野球やって、思い切り投げられるようになりたいですからね」。たとえ草野球でも、相手の動きを無意識に観察してしまうかもしれない。(川島 毅洋)

 ◇和地 新太(わち・あらた)2000年(平12)2月19日生まれ、東京都足立区出身の21歳。小3から野球を始め、足立第11中では軟式野球部、ブラックキラーズに所属。日大豊山では1年秋からベンチ入りし甲子園出場はなし。国学院大では2年秋にリーグ戦デビュー。1メートル64、65キロ。右投げ左打ち。

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