敗戦の中にオリックス逆襲の芽 87年日本S「伝説の走塁」再現 宗好調マルチ&福田激走ホーム

[ 2021年11月25日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2021第4戦   オリックス1-2ヤクルト ( 2021年11月24日    東京D )

<ヤ・オ>6回2死一塁、右前打を放つ宗(撮影・岡田 丈靖)
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 王手をかけられても、前を向いた。唯一の得点に絡んだオリックス・宗は東京ドームのロッカーから出てくると、強い思いを口にした。「もう行くしかない。あと3試合、3連勝できるように、全員でやっていきます」。勝って神戸に戻り、神戸で頂点に立つ。信念は揺らぐことはなかった。

 当たっている。シリーズでは4試合連続安打で、サヨナラ勝利した第1戦に続く複数安打をマーク。ベテラン石川の投球術にも25歳の思いきりの良さで対抗し、初回に逆方向への左前打を放つと、6回2死一塁ではフルカウントからのシンカーに反応。「何とか塁に出られるように。それだけ考えた」と右前に運んだ。

 スタートを切っていた一塁走者・福田も迷わず走った。止まらない。右翼サンタナがファンブルする間に風岡三塁コーチの右手が回った。バンザイしながらの同点ホームイン。87年の巨人との日本シリーズで一塁走者・辻(現西武監督)が見せた神走塁をほうふつさせた。中嶋監督も「隙を逃さない?そうですね」と敗戦の中で見せた判断を高く評価した。

 日本シリーズでの宗は4試合で17打数6安打、打率・353。高い身体能力を誇る2番が吉田正、杉本らのクリーンアップと連動すれば、ヤクルトに傾いた流れも変わるはず。「いい集中力で打席に立てている。短期決戦なんで、後悔しても仕方ない。今までやってきたことを表現するだけ」。故障に不振と苦しい場面をこれまで何度も乗り越えてきた。まだ勝負は終わらせない。(鈴木 光)

 ▽87年日本シリーズの「伝説の走塁」 3勝2敗で迎えた第6戦、西武は2―1で迎えた8回2死一塁、秋山が左中間寄りの中前打。伊原三塁コーチは巨人の中堅・クロマティの緩慢な動き、中継に入った遊撃・川相の隙を突き、右手を大きく回して一塁走者・辻を一気に生還させた。これが貴重な追加点となり、西武は日本一となった。

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