森繁和氏 巨人・菅野の3被弾となった56日ぶり復帰登板を分析

[ 2021年8月27日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人2―11広島 ( 2021年8月26日    東京D )

<巨・広>6回、菊池に左越え2ランを浴び肩を落とす菅野(撮影・会津 智海)
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 巨人の菅野智之投手(31)が26日、広島戦で7月1日以来56日ぶりに復帰登板し、6回5失点で5敗目を喫した。2勝目を挙げた4月23日を最後に白星から遠ざかり、プロ9年目で初の4連敗。チームも首位・阪神に2ゲーム差に広げられた。3本塁打を浴びた菅野の投球について、スポニチ本紙評論家の森繁和氏(66)は全95球中36%の34球にとどまった直球の少なさを指摘した。(構成・神田 佑)

 ストレートが少ない。初回は9球投げたが、2回は4球、3回は3球、4回は4球、5回は5球。立ち上がりに直球を捉えられて、本人が不安になったんだと思う。直球がもう少し走って初めてスライダー、カットボールが効いてくる。

 みんなが見たいのはやはり直球だろう。それが初回先頭の野間に初球の直球を捉えられて左飛。凡打にはしたが、強い打球だった。続く西川にも初球の直球を右前に運ばれた。鈴木誠に本塁打されたのは甘いスライダー。立ち上がりはもっと全力でくるかと思ったが、慎重になっていた。初回に3点取られたことで不安になり、2回以降は直球が減った。

 変化球に頼りながらも何とかリズムを持ち直した。変化の小さい球種であるカットボールを多く投げながら、直球が徐々に走りだしたからだ。1点を奪って2点差に追い上げた直後の6回は、菊池涼を2球連続直球で追い込んだ。しかし、3球目にスライダーを投じて2ランを浴びた。せっかく直球が走りだして、コースに決まりかかっていたのに。

 昨季改造した腕始動の投球フォームから元に戻していた。このために約2カ月もファームで調整したのだろう。昨年は下半身にしっかりとタメをつくることができていたが、今年はそれができなくなった。脚の故障などがあったからだと思う。従来の投球フォームに戻した中でもっと直球を走らせ、切れを出していかないといけない。この日の最速は149キロ出たが、全部が良い直球ではない。

 初回を含め、今季4発を浴びている鈴木誠の6回の三振の取り方は理想的だった。直球、直球、カットボールを挟んで直球を再び2球続け、最後は148キロで空振り。力のある打者に合いやすい変化球が一番危ない。この攻め方はいいきっかけになると思う。95球と球数を投げたのでワンステップは上がった。巨人が阪神を追いかけるには菅野が必要だ。

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2021年8月27日のニュース