悪夢もサヨナラ!近江 “サヨナラ本塁打”の夢見た多賀監督「本当に恐れ入りました」

[ 2021年8月27日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権 準々決勝   近江7-6神戸国際大付 ( 2021年8月26日    甲子園 )

<近江・神戸国際大付>9回1死一塁、春山の二塁打でサヨナラの生還する近江・明石(撮影・後藤 正志)
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 「あの日の悪夢」を振り払った。4点リードの9回。あと1死から同点とされても近江ナインは力強かった。直後の攻めで1死から明石楓大が死球で出塁。続く主将の春山陽生が右中間への安打を放つと、俊足を飛ばして頭から本塁生還。「あの日」と同じサヨナラで、止まっていた時計を動かした。

 「三塁コーチの柴田はクラスが一緒。回るぞ、という気持ちは一緒だったと思う」

 18年夏の準々決勝・金足農戦。1点リードの9回無死満塁から2ランスクイズを決められサヨナラ負けした。当時の敗戦を経験した選手はいないが、ナインの心の中には原点として刻まれている。2回に先制ソロを放った新野翔大も、勝利の生還を果たした明石もスタンドで敗戦を見届けていた。新野は「その時に近江高校に入ろうと決意しました」と表情を引き締め、明石は「ベスト8の壁は高いなと思った」と言うが、運命に真っ向から挑み、力で突破した。

 試合前夜、多賀章仁監督は「新野がサヨナラ本塁打を打つ」夢を見たという。若干違ったが、試合前に言葉を受けた主将がじゃんけんに勝ち、後攻を選択したことでドラマは生まれた。指揮官の下には敗戦の瞬間にマウンドにいた林優樹(現西濃運輸)から「きょうと同じ第4試合、三塁側。先生、ぜひ勝ってください」のメールが届いていた。昨秋の近畿大会1回戦で逆転負けし選抜出場の夢を断たれた神戸国際大付相手にも、たくましく勝ち切った選手に「同点になった時にはダメかなと。本当に恐れ入りました」と目を細めた。

 試合中、春山は1年時にともにプレーした林の言葉を思い出した。「気持ちを強く持てと」。一つの山を越え結束はまた強固になった。(桜井 克也)

 《山田 投打で貢献》山田陽翔が投打で貢献した。先発で6回2安打2失点と試合をつくり、打っても3―2の7回2死三塁で中越えに2ランを放った。9球目を仕留め「振って合わせていこうと思った。タイミングを合わすことができたので入った」と納得顔だった。6―4とされた9回2死満塁で再登板。同点までにとどめサヨナラ勝ちにつなげた。「甲子園で試合を重ねるたびに強くなっていると感じている」と聖地パワーを実感した。

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