智弁和歌山・高嶋 名誉監督の祖父からの助言、イチロー氏の金言胸に“一家初”の甲子園弾

[ 2021年8月27日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権 準々決勝   智弁和歌山9-1石見智翠館 ( 2021年8月26日    甲子園 )

<石見智翠館・智弁和歌山>2回無死、智弁和歌山・高嶋は左越えソロを放ちガッツポーズ(撮影・井垣 忠夫)
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 代名詞の「強打」を一撃で表現した。1―0の2回、智弁和歌山の高嶋奨哉が1ボールからの直球をジャストミート。乾いた金属音の余韻に浸ることなく右手人さし指を天に突き上げると、打球は左翼席中段で弾んだ。

 「すごく気持ちよかった。甲子園の試合のために準備してきたので、いいスイングができました」

 昨年12月に指導を受けた際、イチロー氏からもらった「緊張の中で結果が出ると自信がつく」という言葉を打席の中で思い出していた。3回戦の高松商戦は緊張の中で2安打。だからこそ、自分の力を信じるだけだった。

 19年夏、1年生だった高嶋はアルプススタンドで応援。左右の違いはあっても明徳義塾戦で決勝3ランを放った細川凌平(現日本ハム)の豪快な打球に目を奪われた。「祖父がベンチの前で立っているイメージ」だった聖地は、自分が活躍すべき場所に変わった。

 試合前夜、祖父の高嶋仁名誉監督から「タイミングをしっかり合わせて」と激励を受けた。高校通算7本目は、祖父も父の茂雄氏もかなわなかった聖地での一発。監督として甲子園歴代最多68勝を誇る祖父も「88点くらい。100点とか言ったら、てんぐになる」と笑ったが「息子やったら厳しく当たりますけど、孫にはそうそう当たれない」とデレデレだった。

 “高嶋さんの孫”と言われることに抵抗はないが、実力でレギュラーをつかんだことを結果で証明した。「勝負どころでの一本にこだわってやっていきたい」。指揮官として春夏計3度見た頂点の景色を、自らのバットで21年ぶりに見せることが、最大の祖父孝行になる。 (北野 将市)

 《2年生右腕・塩路 6回無失点の好投》背番号16の2年生右腕・塩路柊季が先発し6回2安打無失点と完璧な投球をみせた。和歌山大会では2試合計6イニングを投げ自責点0と結果を残しチャンスをつかんだ。初回の2球目に自己最速を更新する144キロを計測して勢い付き「持ち味である直球を中心に攻められた。いい投球ができた」と胸を張った。7回から救援の高橋令、9回1イニングを投げた武元一輝も三振を奪い3投手で計14K。18年創志学園・西純矢(対創成館)以来の毎回奪三振も記録し中西聖輝、伊藤大稀の温存に成功した。

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