MLB打ち切りも カージナル2選手も感染…8日間で計32人 コミッショナーが選手会に中止可能性伝える

[ 2020年8月2日 02:30 ]

止まらぬ米コロナ拡大―奥田通信員現地ルポ

<ブルワーズ・カージナルス>カージナルスで新たに2選手の新型コロナウイルス感染が判明し、試合延期が発表され静まり返ったミラーパーク(AP)
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 新型コロナウイルスの感染が深刻化している大リーグは、ロブ・マンフレッド・コミッショナー(61)が、状況次第でシーズン中止の可能性があると選手会に伝えた。スポーツ専門局ESPN電子版が31日(日本時間1日)に報じた。この日はマーリンズに続き、カージナルスでも選手から陽性者が出て、同日までの8日間で選手、スタッフ計32人の感染が判明。現地で取材する奥田秀樹通信員はプロトコル(規則)徹底の難しさを指摘し、改めて危機感を示した。

 マンフレッド・コミッショナーがシーズン打ち切りの可能性を選手会に伝えたという。この日はカージナルスで2選手の感染が判明しブルワーズ戦が延期に。マーリンズのクラスターに端を発した感染拡大が止まらない。

 この日、私が取材したエンゼルスでも当然のように話題となりジョー・マドン監督は「よそは知らないが、うちのやり方はどんどん良くなっている。やるべきことをやれば、危機を業界全体で乗り越えていける」と語った。だが自分たちだけが気をつければいい、という問題ではない。そこが難しいところだ。

 フィリーズは対戦相手のマーリンズの影響を受け、スタッフに感染者が出た。選手に一人も陽性反応が出ていないのに、1週間も試合ができない異常事態。全30チームが優勝を現実的な目標とし、一様に高いモチベーションで臨んでいるわけではない。マ軍のように来季以降を見据えなければならない布陣のチームもあり、感染対策も徹底しているとは思えない。そんなチームが一つでもあれば、そんな考えの選手が一人でもいれば、集団感染の可能性が生まれる。

 大リーグ機構は113ページに及ぶ感染予防のプロトコルに自信を示しているが、守り切るのは至難。この日、エ軍のベドロジャンは「どこでもマスクをしろ、使ったものは全て拭え。プロトコルを全部やりきって、ようやく野球が始まる感じだ」と苦労を訴えていた。

 ダルビッシュや筒香の代理人であるジョエル・ウルフ氏は「野球選手はデータや科学を信じている。数字とともに生き、正しい情報を持っている方が有利と知っているからだ」と話す。一方で「今、米国にはデータや科学を信じない人たちがいる。そういう人に影響されるのはとても危険」とウイルスを軽視する一部の人間の言動に危機感を強めている。

 プレーオフ進出チームは10から16へ拡大されたが、今後は争いから脱落するチームが出てくる。そこで選手・スタッフ全員のたがが外れず、感染予防を徹底できるのか。米国は1日の新規感染者が7万人を超えており、出場を辞退する選手が増えていく可能性もある。開幕まで4カ月も待ったが、もう1カ月も持たずに打ち切られるのではないか…。現場を取材していて悲観的にならざるを得ない。(奥田 秀樹通信員)

 《早ければ4日にも》スポーツ専門局ESPNはこの週末に感染が飛躍的に拡大した場合には、早ければ3日(日本時間4日)にもシーズンが打ち切りとなる可能性があると伝えた。また、31日に2選手の感染が明らかになったカージナルスが1日(同2日未明)にも選手を含む関係者4人以上が陽性反応を示したとも報道。31日に続き、1日のカ軍とブルワーズの試合も延期になったと伝えた。

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