09年には糸井が…交流戦がニューヒーロー誕生のきっかけに

[ 2019年6月6日 14:36 ]

適時安打を放った糸井(撮影・西川祐介)
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 交流戦が始まった。普段対戦しないチームとの対戦だが、交流戦をきっかけにブレークする若手は毎年のように出てくる。取材してきた中で、印象に残っているのが阪神・糸井だ。

 今年で38歳となるベテランだが、大ブレークしたのは日本ハム時代の09年だった。交流戦期間中にスレッジが戦線離脱する間にレギュラー定着し、左太腿を痛めた稲葉に代わって、3番に抜てきされた。

 取材すればするほど、意外なエピソードが出てきて、おもしろかった。近大時代にアップシューズとジャージーの格好で100メートルを10秒5で走ったという。垂直跳びでもNBA選手級の87センチをマークしたとか。驚異的な動体視力を証明する話も聞いた。趣味のパチスロでは「何が回っているかすべて模様が見える」と豪語したとか。

 京都出身の糸井は幼少時代から、トライアスロンの選手だった父に連れられて日本海で泳いでいたという。「人が泳いでいるのを見て、初めて怖いと思った」。プールで糸井が泳いでいる姿を見た稲葉、が冗談交じりに口にしていたことをよく覚えている。

 糸井のプレーはとにかく野性的だった。捕球できないと思った大飛球に圧倒的なスピードで追いつき、驚異的なジャンプ力でもぎ捕った。打撃以上に、守備のインパクトが強かった。子どもの頃から日本海の荒波にもまれているのと、室内の温かいプールで泳いでいるのでは、体の鍛えられ方が違うのだろうか。

 大型連敗を抜け出したヤクルトでは、2年目・村上が長打力を発揮している。故障で出遅れた日本ハムの清宮も交流戦ではフルに出場してくるだろう。ロッテ・安田らにもチャンスは巡って来るだろうか。ニューヒーローが誕生するきっかけになる交流戦に今年もなってほしい。(記者コラム・横市 勇)

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