【西東京】早実 準々決勝敗退…清宮「この負け、あの打席、忘れない」

[ 2016年7月24日 05:30 ]

<八王子学園八王子・早実>スタンドへのあいさつを終え号泣する清宮

第98回全国高校野球選手権西東京大会準々決勝 早実4―6八王子学園八王子

(7月23日 神宮)
 怪物スラッガーの2年目の夏が終わった。清宮幸太郎内野手(2年)を擁する早実は23日、第98回全国高校野球選手権西東京大会準々決勝で八王子学園八王子と対戦。昨季準々決勝で勝った相手に4―6で敗れ、2年連続の甲子園出場を逃した。清宮は「3番・一塁」で出場し、一発出れば同点の9回1死一、三塁で右犠飛に終わった。5試合で3本塁打と強烈な印象を残しながら甲子園を逃した悔しさを胸に、最上級生となる来年の甲子園出場を目指す。

 記者会見場に現れた清宮の目は真っ赤に腫れていた。このチームで甲子園に行けなかった悔しさ、勝利に導く一打を打てなかったふがいなさ…。さまざまな感情が交錯する中、率直な思いを吐露した。

 「最後つなげられなかったので本当に申し訳ない。3年生を甲子園に連れて行きたかったので本当に悔しい。自分たちが3年生の夏を終わらせてしまった思いが強い」

 3―6で迎えた9回1死一、三塁の第5打席。一発出れば同点の場面で初球、内角直球を叩いた。右翼へ舞い上がった打球は逆風に押し戻され、フェンス手前で右翼手のグラブに収まった。「狙ったところに来たけど、ミスショットした。(ボールの)下を捉えすぎて上がり過ぎてしまった。まだまだです」。右犠飛で1点しか返せず、思わず頭を抱えた。

 走者がいる場面では勝負を避けられた。初回1死二塁で敬遠気味の四球。5回2死一塁でも歩かされた。右方向の打球が多いことから左翼手が中堅、中堅手が右中間、右翼手が右翼線に寄る「清宮シフト」も敷かれた。「見えてはいたけど気にしてなかった」と振り返り、3回にはその右中間を破る二塁打を放った。

 今夏の目標は「日本一のスラッガー」だった。打率・583、8打点、3本塁打の成績を残し、高校通算本塁打は53まで伸ばした。5試合で計9四死球と勝負されない場面も多く、スラッガーとしての宿命も味わった。

 「まだまだその道(日本一のスラッガー)は長いと感じた。西東京大会を勝ち抜くのが一番難しい。甲子園はほど遠い場所だなと改めて思いました」。新チームでは最上級生となる。経験豊富で積極的にナインに声を掛け、精神面でも大黒柱の清宮は「チームを引っ張っていければ」と強い責任感を口にし、新主将に任命される可能性もある。和泉実監督は「中心は中心だけど、一番大事なのは彼のパフォーマンスが発揮できること。生徒たちの話を聞き、1、2年生の姿を見て判断したい」と適性を見極めていく考えを示した。

 2年生で1度も行けなかった甲子園に戻るチャンスは来年の春夏で残り2回となった。「もちろんどっちも狙って絶対に出たい。この負け、あの打席は絶対に忘れない。いつか自分にとって必要な負けだったと言えるような野球人生にしたい」。悔し涙を成長への原動力に変えて再出発する。(青木 貴紀)

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