LAどよめき 代走マエケン「準備はゼロ。びっくりしました」

[ 2016年7月8日 05:30 ]

<ドジャース・オリオールズ>8回、代走で出場した前田にスタンドは大盛り上がり(AP)

インターリーグ ドジャース4―6オリオールズ

(7月6日 ロサンゼルス)
 どっきり初体験。ドジャースの前田健太投手(28)が6日(日本時間7日)のオリオールズ戦で、日米通じてプロ初の代走起用された。同点の8回1死で一塁走者のA・J・エリス捕手(35)に代わり、5日に先発したばかりの右腕が登場。日本投手のメジャーでの代走起用は11年ぶり3人目で4度目となった。勝ち越しのホームは踏めず、試合も延長14回の末に敗れたが、マウンドに限らず高い身体能力を持つ背番号18の力が必要とされる場面は今後も見られそうだ。

 どよめくスタンド以上に前田本人が驚いていた。8回1死からエリスが四球を選び、勝ち越しの走者が出ると「代走・前田」がコールされた。ヘルメットをかぶり、少しはにかみながら一塁へ。同じく交代した相手バッテリーが投球練習する間を利用し、入念に一塁線脇でアップを繰り返した。

 「いきなりだったので準備はゼロ。びっくりしました。(クラブハウスで)着替えていたら、一応スパイクを履いておけと言われて…」。2死後にアットリーが右翼線を突破する二塁打。前田は好スタートを切り、快足を飛ばし三塁へ。少しオーバーランしたところで三塁ベースコーチの「止まれ」の指示に従い、相手守備の中継プレーを確認後に三塁へ戻った。

 次打者が敬遠され、2死満塁となると積極的に本塁突入の機会をうかがった。「投手のブラックはワンバウンドのスライダーが多い。暴投に備えろと指示していた」とクリス・ウッドワード三塁ベースコーチ。言葉通りに初球から2球連続でワンバウンドとなるスライダー。足を浮かせてプレッシャーをかけたが、ともに捕手が逆シングルで止めた。結局打者は遊飛に倒れて、勝ち越しの生還はならなかった。

 エリスは足が遅く、6月16日のブルワーズ戦でも9回に登板機会のない左腕カーショーを代走に送られていた。デーブ・ロバーツ監督は「ベンチの控え野手は4人。延長の可能性もあるし残しておきたかった。足の速い前田がいたから起用した」と説明。ウッドワード・コーチは「一塁上ではフェイクでスタートするそぶりを見せたり、普通の野手走者と動きに遜色はなかった」と高評価を走者・前田に与えた。

 デビュー戦で本塁打した打力も含め、高い運動能力は新天地でも誰もが認めるところとなった。キャンプでは延長戦がもつれた場合など、外野手での起用も首脳陣は示唆していた。「本当なら打席に立ちたかった」と少し悔しそうな前田。投げて、打って、守って、走れる。これもまた前田の大きな魅力の一つだ。(ロサンゼルス・奥田 秀樹通信員)

 ≪代打は憲伸だけ≫大リーグでの日本投手の代走起用は過去に3度。野茂英雄がブルワーズ時代の99年6月27日にパイレーツ戦で起用されたのが初めて。他に大家友和がエクスポズ時代の03年9月12日のメッツ戦、ナショナルズ時代の05年6月5日のマーリンズ戦と2度ある。ちなみに代打起用されたことがあるのは川上憲伸(ブレーブス)だけで、09年5月に2度起用され、ともに三振に倒れた。

 ≪日本ではオリ山本、阪神・西村ら≫07年9月17日ロッテ戦の山本(オ)は12回に北川の代走に起用されると、サヨナラのホームを踏んだ。11年に代走を務めた西村(神)は、前年外野も守るなどマルチに活躍。球宴では09年にマメをつぶした由規(ヤ)が代走で出場した。なお、他には、98年マホームズ(横)、09年小林宏(ロ)、13年福山(楽)、昨年島本(神)らの代走例がある。

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