54年ぶり沖縄でパ公式戦、プロを身近な存在に…心待ちにする伊志嶺

[ 2016年6月26日 10:30 ]

沖縄県北谷町出身の楽天・伊志嶺

 半世紀を超えて南の島にパ・リーグ戦士が降り立つ。28、29日に沖縄セルラースタジアム那覇でオリックス―楽天戦が開催される。オリックスの主催で、パ・リーグの公式戦が沖縄県で開催されるのは1962年の阪急―大毎以来54年ぶりだ。

 この試合を待ちわびているのが、愛称が「シーサー」の楽天・伊志嶺忠捕手(31)だ。中日が春季キャンプを張る沖縄県北谷町出身。家族や親戚など15人以上が応援に駆けつけるといい「これまでオープン戦だけだった。沖縄で公式戦ができるのはうれしいし、楽しみ」と心を躍らせている。

 今でこそBS、CS放送が普及し、好きな球団の試合を見ることができるようになったが、昔はテレビの野球中継といえば、ほとんどが巨人戦だった。伊志嶺も「同じ右投げ左打ちの松井秀喜さんに憧れていた」と振り返る。沖縄県民になじみの薄いパ・リーグをアピールする最大のチャンスである。

 近年は沖縄で春季キャンプを張る球団が増え、県民にとってプロ野球は身近な存在になったが、シーズン真っ只中の白熱した試合を生で観戦することはなかなかできない。ここ数年はDeNAを中心にセ・リーグが毎年のように沖縄セルラースタジアム那覇で公式戦を行っているが、それでも年に1度。プロのプレーを間近で見る機会に恵まれていないのが現状だ。

 伊志嶺と同じ沖縄県出身の真喜志康永内野守備走塁コーチ(56)も「滅多にあることじゃない。野球ファンを増やすため、県民としてはどんどん開催してほしい」と語る。そして続けて言った。「どの県でも年に1回やれたら良いよね」。

 楽天は東北に根ざした地域密着球団を目指し、東北各県での公式戦開催に尽力している。来月5日には山形で日本ハム戦が行われる。1軍戦の開催が1度もない青森県でも来年以降の開催に向けた動きが進んでいる。

 球場の規模や設備などハード面の問題はあるが、12球団が力を合わせ、全国各地で公式戦が開催できれば、きっと野球人口の拡大につながるはずだ。(記者コラム・徳原 麗奈)

続きを表示

この記事のフォト

2016年6月26日のニュース