金刃 史上初!2度目の1球勝利「2球で2勝か。せこいですね」

[ 2016年6月26日 08:18 ]

<楽・ソ>7回2死一、三塁、打者・城所で登板した金刃が勝利投手となる

パ・リーグ 楽天4-2ソフトバンク

(6月25日 コボスタ宮城)
 史上初とは知らなかった。試合後、松井裕からウイニングボールを受け取った楽天の金刃は、おもむろに三塁側スタンドへ投げ入れた。「知らなかったんで投げちゃいました」。11日の広島戦に続く1球勝利。長い歴史を誇るプロ野球でも初めての記録をわずか2週間で成し遂げたが「2球で2勝か。せこいですね」と自虐的に笑った。

 0―2の7回2死一、三塁でマウンドへ。城所に投じた初球、外角132キロのカットボールは鋭い当たりだったが二塁手・藤田の正面を突き、二直。ピンチを封じると直後に味方打線が3点を奪って逆転し、白星が舞い込んだ。

 もう1点も許せない場面。「てきと~に」。左腕は帽子のひさしに書き込んだ言葉を、頭の中で繰り返した。「マウンドに上がったらどうしても力が入ったり、冷静になれない。この文字を見て気持ちを落ち着かせている」。大事な局面での登板が続く中継ぎにとって気持ちのコントロールは技術と並んで重要だ。この日もカットボールを要求した捕手・足立のサインに「首を振ろうとしたが、冷静になった。野手のいるところに打たそうということなんだ」と意図をくみ取り、指示通りのボールで打ち取った。

 首位を独走するソフトバンクに逆転勝ち。「僕だって三振でガッツポーズがしたい。次は3球ぐらいで抑えられるようにしたい」と金刃は肩身が狭そうだったが、そんなことはない。チームは開幕3戦目の3月27日から続いたソフトバンク戦の連敗を7でストップ。あの1球がもたらした白星の意味は大きい。(徳原 麗奈)

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2016年6月26日のニュース