九州国際大付 圧倒16点!最後の夏・若生監督を「男にする」

[ 2014年7月29日 05:30 ]

<北筑・九国大付>試合後にベンチで清水(左)らナインを出迎える九国大付・若生監督

福岡大会決勝 九州国際大付16―0北筑

(7月28日 北九州市民)
 約束のウイニングボールをがっちりつかんだ。九州国際大付が初の甲子園を目指した北筑を猛打で圧倒。激戦区・福岡135校の頂点に立った。打ちも打ったり。先発全員19安打16点を挙げての夏切符だ。

 「うれしい。福岡での最後の試合を勝って終われてよかった。素晴らしい子供たちに感謝したい」。この夏限りで勇退する若生正広監督(63)は一戦ごとにたくましく成長し、絆を深めた選手を称えた。

 2回2死から驚きの5連打であっという間に4点を先制。3回に3点を加えると、4回は6番・山本から4連続二塁打を含む5連打など打者11人で7点を挙げ、試合を決めた。16点は福岡大会決勝の最多得点(06年福岡工大城東14―1柳川)をあっさり更新するもの。大会7試合で65得点、1試合平均9・3点の“9点打線”が3年ぶり5度目の甲子園出場の原動力だった。

 夏の栄光は、春の屈辱から始まった。県大会は2回戦で直方にまさかの敗戦。北九州市長杯も決勝で自由ケ丘に敗れた。「みんなが個人プレーに走っていた。心が弱かった」と今大会2本塁打でサイクル安打も達成した3番・古沢。5番・疋田も「てんぐになっていた。慢心があった」と反省。これで尻に火が付いた。

 さらに、結束力を高めたのは黄色じん帯骨化症で苦しむ若生監督がナインに今夏限りでの退任を告げたことだ。「県大会で負けた試合後“ワシはやめる。これから本気でやらんと今まで教えたことが無駄になるぞ”と言われた」と主将の清水。ナインは打ちのめされたが「監督の最後の夏を甲子園で」を合言葉に立ち上がった。大振りをやめ、バットをひと握り短く握りスイング修正。投手陣は走り込みと筋力トレで一から体を鍛え直した。全ては、この夏のためだった。

 「個人からチームへみんなの意識が変わった」と古沢。タレントぞろいの半面、ときにバラバラだったチームがひとつになった。今大会3回戦で12年優勝の飯塚を接戦で下し、準々決勝で153キロ右腕・小野の西日本短大付、準決勝で自由ケ丘と難敵を撃破して頂点に立った。

 さあ、こうなれば目指すはひとつ。清水主将は「監督にはまだ日本一がない。甲子園で監督を男にしたい」と恩返しを誓った。春は東北時代も含め2度の準優勝がある若生監督は「仙台から10年前に福岡へ来て本当によかった。甲子園では1つでも多く勝って長い夏にしたい」と意気込んだ。最後の夏。猛打のチームを率いてセンバツでなし得なかった全国制覇を目指す。

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2014年7月29日のニュース