原巨人をヒントに…日大鶴ケ丘 競争原理でつかんだ甲子園!

[ 2014年7月29日 05:30 ]

<日大鶴ヶ丘・東海大菅生>9回、サヨナラで優勝を決めた日大鶴ヶ丘ナインが歓喜の輪を作る

西東京大会決勝 日大鶴ケ丘2―1東海大菅生

(7月28日 神宮)
 第96回全国高校野球選手権大会(8月9日から15日間、甲子園)の地方大会は28日、6大会で代表校が決まった。西東京大会では日大鶴ケ丘が東海大菅生に2―1のサヨナラ勝ちを収め、08年以来6年ぶり3度目の出場を決めた。今大会途中からスタメン起用された中里雅哉外野手(3年)がサヨナラ打をマークした。
【7月28日の結果 組み合わせ】

 中里の放った打球が三遊間を抜けていった。二塁走者・五十嵐が快足を飛ばして生還。一塁ベンチから日大鶴ケ丘ナインが飛び出した。就任17年目の萩生田(はぎうだ)博美監督は、信じられないといった表情で優勝インタビューに向かった。

 「今年のチームはスターはいないし、個人の能力も高くない。新チームはコールド負けで始まった。甲子園に出られるとは思っていなかった」

 6回に先制されても慌てない。7回に敵失で追いついた。そして9回2死一、二塁。背番号14を背負う3年生の中里が、「野球人生初」のサヨナラ打を放った。今夏は5回戦の多摩大聖ケ丘戦から金井主将に代わって2番・左翼でスタメン出場を続けてきた。午前7時からの朝練習では指揮官から「バットを振らなくていい」と、ひたすらバントや守備に磨きをかけてきた。この日も5打席全てで2ストライクまでバットを出さず、相手投手に32球を投げさせることでチームに貢献した。

 そんな縁の下の力持ちには、おちゃめな一面もあった。今大会の出場選手名簿には「中里雅也」と記されていたが「実は“雅哉”なんです」と切り出した。手違いによる誤表記だった。名前を売る絶好のチャンスでの一打に「絶対に自分で決めようと思った」と笑った。

 昨秋は東京都大会1回戦で二松学舎大付に8回コールド負け。指揮官は「競争意識を持たせないとダメだと思った。巨人にも井端、片岡選手が入った。それをヒントにした」と振り返る。レギュラーを白紙に戻し、同ポジションに同学年の選手を複数置いて、競争をあおった。殊勲打の中里、代走として本塁を踏んだ五十嵐、先発で7回1失点で踏ん張った小林も、昨秋はベンチ入りすらしていなかった選手たちだった。チーム力の底上げが、6年ぶりの頂点につながった。

 金井主将は甲子園に向け決意を口にした。「泥くさく堅実に。自分たちの野球で勝ちたい」。前回は初戦負け。24年ぶりの聖地1勝は、全員でつかむ。

 ◆中里 雅哉(なかざと・まさや)1996年(平8)12月28日、神奈川県生まれの17歳。小1から千木良スネークスで野球を始める。北相中では相模原西シニアに所属。日大鶴ケ丘では3年春からベンチ入り。1メートル75、64キロ。右投げ右打ち。

 ▼日大鶴ケ丘・小林(今夏5試合目の先発で7回1失点)疲れはあったけど気持ちを強く持った。甲子園では強いところと当たって勝ちたい。

 ▼湯原昌幸(歌手、65年卒)凄いですね。自分も在校中にはよく神宮に応援に行きましたが、当時は本当に弱かったのでうれしいです。甲子園も楽しみにしています。

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