マー様 “神様”に並んだ20連勝 星野監督「偉大な投手と巡り合えて幸せ」

[ 2013年8月10日 06:00 ]

<楽・ソ>開幕16連勝の記念ボードを小山(右)から渡され笑顔の田中

パ・リーグ 楽天5-0ソフトバンク

(8月9日 Kスタ宮城)
 神様、仏様、マー様だ!楽天・田中将大投手(24)は9日、ソフトバンクを相手に7回を4安打無失点。8三振を奪う力投を見せ、プロ野球新記録となる開幕16連勝を達成した。

 さらに昨年8月から20連勝となり、連続シーズンを含む連勝記録でも稲尾和久(故人、西鉄)と松田清(故人、巨人)が持つプロ野球記録に並んだ。不敗のエースに導かれ、チームは球団記録となる貯金20に到達。最短で13日にマジック「36」が点灯する。

 7回1死三塁のピンチ。5点リードの場面で内野陣が集まり、マウンドの田中に星野監督から超異例の伝令が届いた。遊撃の松井が伝えた。

 「監督は“内野の守備位置は(田中)将大の好きなように”と言っている」。点差を考えれば、ヒットゾーンを広げない定位置がセオリー。だがエースの答えは「前進でお願いします」だった。

 相手に少しでも隙を与えれば、そのうち傷口が広がることを知っている。「受け身だと絶対にダメ。相手に向かっていく気持ちが大事」。だから1点もやらない。江川をこの日最速の154キロ直球で空振り三振。「三振を狙って三振を取れた」と胸を張った。7回4安打無失点でプロ野球新記録の開幕16連勝を達成。1点も与えなければ勝てる。その積み重ねだ。

 「もっとこみ上げるものがあると思ったけど、まだシーズン途中で大事な試合も続く。意外なほど普通な気持ち」。この冷静さ。それはピンチでの粘り強さにもつながっている。通算被打率・216だが、得点圏では・153。一流投手は走者を背負うと、集中力を高めてギアを上げる。それによって力が入ってボールが抜けたり、引っ掛けたりすることもある。だが、田中にミスはない。 「今年力んで抜けた球は1球も見たことがない。引っ掛けたのが1球だけかな」と森山投手コーチ。超一流である。初回1死三塁で内川を149キロ直球で空振り三振。内角にきっちり投げ込んだ。8三振を奪い、無四球。投手の安定感を示す数値として「K/BB」がある。奪三振を与四球で割った数だ。両リーグトップの5・71が物語る。

 試合前だった。練習を終えてベンチに引き揚げた田中は星野監督から2回柏手を打たれ、両手を合わせて祈りをささげられた。中日の元エースだった指揮官にとって、田中は「神様、仏様、田中様」であり、「本当に偉大な投手と巡り合えて幸せ」と感無量だ。プロ野球新記録達成を記念したサプライズのプレゼントも用意している。一本数十万円の高級腕時計。田中の「18」と、指揮官の「77」の背番号が文字盤に入った特注品を既に発注しており、近日中に手渡される予定だ。

 公私ともに親交がある元ソフトバンクのエース斉藤和巳氏が05年に記録した開幕15連勝を抜いた。「“ここまで来たら絶対に俺を抜けよ”と言われていたので、その約束を果たせてうれしい」と田中。昨季から20連勝とし、連勝記録で稲尾に並んだ。投げれば負けない。投げれば歴史になる。

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2013年8月10日のニュース