雄星 オレが先輩だ!スライダーで大谷2K斬り「思い通り」

[ 2013年3月31日 06:00 ]

<西・日>4回1死一、二塁、日本ハム・大谷から2打席連続となる三振を奪う西武・菊池

パ・リーグ 西武4―2日本ハム

(3月30日 西武D)
 注目の花巻東対決は、先輩に軍配が上がった。西武・菊池雄星投手(21)は30日、日本ハム戦に先発し、5回1/3を4安打無失点の好投で開幕2戦目でチームに今季初勝利をもたらした。日本ハムの二刀流ルーキー・大谷翔平投手(18)に対しては、得意のスライダーで2打席連続三振。甲子園のヒーロー、メジャーの夢を一時断念してのドラフト1位での入団…。同じ境遇を歩んできた2人の対決は新世代の名勝負を予感させた。

 気温7度と冷え込んだ西武ドーム。しかし、白い息を吐きながら半袖姿で腕を振った菊池の心は熱かった。1―0の4回1死一、二塁のピンチ。打席には2度目の対決となる大谷がいた。

 女房役の炭谷がマウンドに駆け寄る。「気持ち、入れ過ぎんなよ」。ひと呼吸置いて冷静になった左腕は、初球に外角直球を見せてから、スライダーを4球続けた。大谷も必死にファウルで粘る。6球目、内角寄りの143キロの速球 もファウル。 「スライダーを意識していると感じていた」。リーチが長い大谷はボール球のスライダーでも手が届くとみた菊池は、思い切り腕を振り、ワンバウンドのスライダーを投じた。そして狙い通りにバットを振らせた。

 「走者がいたから余裕がなかった。きょうは何とかスライダーで抑えられました。凄い選手なので負けないように投げました」。2回1死一塁での初対決も空振り三振に仕留めた。ウイニングショットはいずれも、計13球中6球を投じたスライダー。そして先輩としての意地だった。

 3歳違いで、花巻東では入れ替わりだった2人。菊池は、大谷が小学生の頃から名前を聞いていたという。「県内では知らない人がいなかったくらい」。菊池が3年夏の甲子園に出場した際、中学生だった大谷が甲子園練習を見学に来たことは鮮明に覚えている。

 ともに高校時代から「怪物」と騒がれたが、甲子園での実績は準優勝を経験している菊池に対し、大谷は1勝も挙げていない。しかし、昨年のドラフト以降、世間の注目は後輩に注がれた。昨季までプロ3年間で通算8勝の左腕は「僕とは全然違う。向こうは怪物」と謙遜し続けてきたが、胸に秘めていたプライドをマウンドで爆発させた。

 菊池も09年ドラフト前に大谷と同じようにメジャーを熱望し、大きな関心を集めた。夢は一時封印し、日本球界に飛び込んだ21歳と18歳。菊池は言う。「個人的な勝負はもっと力で抑えられるようになってから。次は内角を使わないといけないかな。同じ配球では打たれる」。2人が新時代を紡ぎ、新たな名勝負を生み出していく。

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