けん制で見抜いたエンドラン…石川だからこそのウエストボール

＜ヤ・神＞７回１死一塁、一塁へけん制球を投げるヤクルト・石川

セ・リーグ ヤクルト１―０阪神

（3月30日 神宮）
　洞察力と制球力。ヤクルト・石川にこの２つが備わっていたからこそ成立したプレーだった。

　１―０の７回１死一塁で打者は藤井彰。１ボールからけん制を入れると、一塁走者マートンがわずかだが逆を突かれて帰塁した。石川は「動いてくるかな」と阪神ベンチの意図を察知。そこにヤクルトベンチからも「ウエストボール」のサインが捕手の相川に送られた。続く２球目。石川は外角に外し、エンドランのサインが出た藤井彰はバットを放り投げたが空振り。相川がマートンを刺してピンチを脱した。

　カウントを悪くして四球で走者を許すと、上位に打順が回る場面。だが、相川は「（制球力のある）石川だから２ボールになってもいいという判断」と話す。リスクを覚悟の上でウエストボールを選択できたのは、石川に対する信頼があったからこそだった。

　昨季まで５年連続で開幕投手を務めてきた左腕が、８回２／３を３安打無失点と意地の投球。昨季は５年ぶりに２桁勝利に届かず「２年続けて駄目だと思われたくない」と話す石川が、熟練の投球術でチームに今季初白星をもたらした。

　▼ヤクルト・小川監督（今季初勝利に）ホッとしました。１―０の状況では石川と心中するつもりだった。よく投げてくれました。