【元横綱・稀勢の里コラム】太さ統一したてっぽう柱に本場所と同じ土 こだわりの環境で仕上げた弟子に期待

[ 2026年3月3日 07:00 ]

新しい稽古場で基礎運動を行う二所ノ関部屋の力士
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 世界の舞台で輝かしい成績を収める日本人アスリートの姿が本当に頼もしく感じます。外国人選手相手でも物おじしない、コミュニケーションも取れる。精神面の進化を感じますね。

 先月末に閉幕したミラノ・コルティナ冬季五輪。メダルラッシュの中、一番印象に残ったのは、もちろんフィギュアスケートのペアで金メダルを獲得した「りくりゅう」です。ひとり勝ちでしょ(笑い)。ミスで追い込まれた状況からの見事な逆転劇。採点競技というものには縁がない人生を送ってきましたが、意外にも吹っ切れた方が持っているものを出し切れるのでしょうか。私もテレビで観戦していましたが躍動感がありましたし、他の競技では考えられないコミュニケショーン能力の高さが光りました。それがないと頂点を極められないのかもしれません。

 8日に初日を迎える春場所に向け大阪入りしました。今年から宿舎は東大阪市の温泉旅館内にある宿舎兼稽古場の「アイベース大阪」を使わせていただきます。アイ工務店さんの提供施設は九州場所、名古屋場所に次いで3カ所目。過去の2回の実績も参考にした上で立派な施設を用意していただきました。

 効率性を求め土俵は2面。大きなサウナ、浴場に加え、調理場は力士4人が並んで作業できる調理台を設置しました。それ以外にも私のこだわりが反映されたものがあります。まずはてっぽう柱。私は現役時代に手首が悪かったので、柱の長さにはミリ単位でこだわりがあります。太過ぎても細過ぎてもダメ。二所ノ関部屋がある茨城県阿見町をはじめ、どの稽古場も直径25センチの柱で統一しています。

 土俵は本場所と同じ荒木田の土を関東から搬入しました。大阪は紙やすりのような土質の場所が多く、現役時代も苦労しました。力士にとっては足の感覚は極めて重要な要素。砂をしっかりかむことで安定した重心を保ち、攻撃、防御の支えを構築できます。日頃から本場所同様の感覚を足に植え付けることができるのは大きなアドバンテージです。

 東大阪市のご支援もあり「アイベース大阪」は子供の居場所づくりや災害発生時の緊急避難場所、備蓄物資の提供など支援活動の場として活用されます。地方場所の宿舎を確保するのも大変な時代ですが「地域密着」は今後求められる理想的な在り方かもしれません。

 大分県出身の野島陽向(ひなた)、三重県出身の後藤隼斗(はやと)の新弟子2人を含め総勢23人で臨む春の陣、最高の環境で仕上げてきた弟子たちの活躍を期待してください。 (元横綱・稀勢の里)

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