【フィギュア】鍵山優真、頂点へ父・正和コーチ最後の一押し 19日開幕全日本選手権

[ 2025年12月17日 05:00 ]

鍵山優真(右)が今季演じるSPの冒頭のポーズを決める父・正和コーチ(撮影・小海途 良幹)
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 来年2月のミラノ・コルティナ五輪代表最終選考会を兼ねるフィギュアスケート全日本選手権が19日から3日間、東京・国立代々木競技場で行われる。男子の有力候補である鍵山優真(22=オリエンタルバイオ・中京大)、佐藤駿(21=エームサービス・明大)の同年代2人には二人三脚で歩む指導者がいる。鍵山の父・正和コーチ(54)と佐藤の日下匡力(ただお)コーチ(45)の思いに迫った。

 とうの昔に、息子が自分を超えているという思いはあった。優真が22年北京五輪で銀メダルに輝いた直後、確信を深めた正和コーチは切り出した。「一歩先に進むために違う状況で行こう」。今後は他の指導者につくべきという2、3カ月に及ぶ説得に、優真は最後まで首を横に振った。「(父が)必要」と。

 「ずっと一緒にいたので。そばにいるだけでも心強いと言ってくれるかどうか分からないですけど、メンタル的な役割が大きいんだと思います」と正和コーチは言う。時は既に新シーズンに入りかけていた。息子が現役でいられる時間の短さに思いをはせ、「後悔させないように」と続行を決意、現在に至る。

 自身は92年アルベールビル、94年リレハンメルの五輪に出場し、05年に指導者に転身した。03年に生まれ、5歳から教え始めた優真は「理屈っぽい」自身に似て物事の本質を追う性格。練習場と自宅を結ぶ車中では、リンクで起こる事象の理由を2人で細かく筋道立てていく会話がずっと続いた。

 優真が中学3年の18年、正和コーチは脳出血で倒れた。約半年間の入院中、息子は見舞いごとに練習動画を携えた。自身も「つえをついてでも自力でリンクに行きたい」と必死でリハビリ。現場復帰後は氷上での表現という最大の指導法を失い、毎晩ノートと向き合い言葉での伝え方に工夫を重ねた。

 優真にとっての自身の最大の役割は「気持ちよく滑れるよう、いかに本番の前に背中を押してあげられるか」。2度目の五輪シーズンの今季は持ち味のスケート技術を引き出す構成を提案し、優真は今月のグランプリファイナルで2位に入るなどメダル候補として力強く突き進む。

 正和コーチは明かす。「僕の中では、僕と優真が歩んでいく道としては最後になるかもと思っています。秒読みを開始すると、ワンセッション、ワンセッションの練習が一層大事に感じるようになりました」。父の最後の力強い一押しが、息子を頂へと押し上げていく。(波多野 詩菜)

 ▽男子の五輪代表選考 日本は3枠。全日本選手権の優勝者が自動的に決まり、残る2人は総合的に選出。全日本の2、3位、GPファイナル上位2人(鍵山、佐藤)、今季ベストスコア上位3人(鍵山、佐藤、三浦)を満たす選手から2人目を決め、上記基準を満たして選考から漏れた選手と世界ランク上位3人(鍵山、佐藤、三浦)、日本連盟独自の今季国際競技会ポイント上位3人(鍵山、佐藤、友野)、今季の総合得点平均上位3人(鍵山、佐藤、友野)から残る1人を選ぶ。

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