“超ビッグベビー”鏡優翔 最愛の家族の支えで悲願の金メダル

[ 2024年8月12日 03:38 ]

レスリング女子76キロ級 鏡優翔が金メダル

小6の時、横綱土俵入り前にポーズを取る鏡優翔(鏡両親提供)
Photo By 提供写真

 試合開始と同時に「カワイイー!」と声援を送った鏡の家族。大好きなヒマワリを思わせる真っ黄色のオリジナルTシャツに頭に着けたハチマキには造花を挿すド派手ないでたちで激闘を後押し。金メダルの瞬間は一家抱き合って喜んだ。

 3970グラムという超ビッグベビーで生まれた。母・ひとみさんは「生まれた瞬間、先生に“うわっ、デカい”と言われたことは忘れられない。こっちは痛い思いをしたのに」と笑う。団体競技の大切さを学ばせるため、小2で入れた宇都宮ラグビースクール。夏合宿で1人女風呂に向かう鏡を見て、初めて他のスクール生が女の子であることに気づくほど、活発な少女だった。

 中学校の卒業式では心を痛めた。3年に上がる前、小学生の頃から憧れていたJOCエリートアカデミー入りの打診を受けた。悩んだ末に親元を離れて上京したが、転校した中学校では孤立気味だったという。卒業式を終えると一枚の写真も撮らず、愛娘は「もう、帰ろう」とポツリ。「凄く苦しい1年間だったと思う。親としても一番つらかった」とひとみさん。底抜けに明るい鏡だが、つらい思いも乗り越えてきたから、今がある。

 自衛官の父・師博さんから毎日厳しすぎるトレーニングを課され、兄・隼翔(はやと)さんと知恵を出し合って手を抜く方法も覚えたという鏡。今では「あれじゃズルさも覚えるよな」と笑う父にとっても、念願の金メダルになった。

 ◇鏡 優翔(かがみ・ゆうか)2001年(平13)9月14日生まれ栃木県出身の22歳。東京・帝京高、東洋大を経て今年4月からサントリー所属。中学3年からJOCエリートアカデミーにも所属。現在は東洋大大学院にも通う。高2だった18年に全日本選手権を初制覇。昨年の世界選手権では女子最重量級では03年の浜口京子以来、日本勢20年ぶりの優勝を果たし、パリ五輪代表に内定。家族は父・師博さん、母・ひとみさん、兄・隼翔さん。1メートル67。

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