【パリ振り返り】東京五輪でも問題視…パリ大会でも止まないアスリートへの誹謗中傷 課題浮き彫り

[ 2024年8月12日 08:40 ]

(左上から)柔道の阿部一二三・詩、陸上の柳井綾音、柔道の永山竜樹・スペイン代表フランシスコ・ガリゴス、バレーの西田有志
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 パリ五輪は11日(日本時間12日)、全日程を終えて閉幕した。100年ぶりにフランス・パリでの開催となった夏季五輪。26日(同27日)にセーヌ川での開会式で開幕し、17日間熱戦が繰り広げられた。一方で、誹謗中傷問題や水質問題などさまざまな議論が巻き起こった。

 陸上界では女子20キロ競歩代表の岡田久美子(富士通)と柳井綾音(立命大)について日本陸連が7月29日、混合団体に専念するため個人種目の20キロを辞退すると発表。この決断についてSNSで「身勝手だ」などとメッセージが相次いで寄せられたとし、柳井は「たくさんの方から厳しい言葉に傷つきました」「このようなことが少しでも減って欲しいと願っています」と悲痛な叫びを上げていた。

 また準々決勝で敗れたバレーボール男子日本代表へは「もう引退でお願いします」など心無い声が浴びせられた。これに対し、日本バレーボール協会の公式サイトで川合俊一会長が声明を発表する異例の事態。「パリ2024オリンピックに出場するアスリートに愛のある応援を」と題してコメントした。

 さらに柔道女子52キロ級で敗退後に号泣した阿部詩や、男子60キロ級で永山竜樹への寝技を解かず勝利したスペインのガリゴスのSNSにも罵詈(ばり)雑言が書き込まれた。詩は「情けない姿を見せてしまい申し訳ありません」と謝罪しており、兄・一二三は「情けなくなんかない」と擁護した。一二三は5日に出席したイベントでもSNS上での誹謗中傷について「見ていて心が痛い」と話していた。

 21年東京五輪でも問題視されてきた誹謗中傷は今大会でも止むことはなく、日本オリンピック委員会(JOC)は1日に「TEAM JAPANを応援いただく皆さまには、誹謗中傷などを拡散することなく、SNS等での投稿に際しては、マナーを守っていただきますよう改めてお願い申し上げます」と警鐘を鳴らした。

 一方で中国では同問題を対処するべく、卓球女子シングルス決勝に出場した同国選手をSNSで誹謗中傷し「社会に悪影響を与えた」として、29歳の女を拘束した。各国の対応の違いが問われたほか、深く傷を負ったアスリートへの心のケアや、過剰な攻撃への対応策は現代のネット社会において今後も大きな課題である。

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