二所ノ関親方が夏場所総括 左四つの型確立 目を見張る若元春の成長

[ 2023年5月30日 05:05 ]

夏場所技能賞の若元春(代表撮影)
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 4関脇がしのぎを削った夏場所は霧馬山が大関昇進を確実にし、大栄翔(29=追手風部屋)、豊昇龍(24=立浪部屋)、若元春(29=荒汐部屋)もそれぞれ10勝以上を挙げた。本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は優勝ラインが14勝だったハイレベルな場所を総括。名古屋場所で大関獲りが懸かる3関脇にアドバイスを送った。

 夏場所は照ノ富士が14勝を挙げました。最近は12、13勝が優勝ラインでしたので、第一人者が強さを発揮して場所を締めてくれました。取り口の精度が落ちる相撲も何番かありましたが、四つ相撲になったら力の差は歴然。14日目の霧馬山戦は技術でも圧倒していました。大関以下には対策を含め、もうひと工夫しないと1強時代は続くでしょう。

 千秋楽に大栄翔が若元春に勝って4関脇は全員10勝以上を挙げました。霧馬山を除く3人は名古屋場所で大関獲りとなるようです。いずれも実力をつけていますが、なかでも若元春の成長は目を見張るものがあります。左四つの型が確立されてきましたし、右上手を取る形もいい。加えて二枚腰も魅力で、11日目の北青鵬戦でのうっちゃりは見事でした。密着して寄っていく形があるからこそできるわけで、昭和の力士のような雰囲気を漂わせています。

 四つの型があるのは大きな武器です。私と同じ左四つなので多少はひいき目もありますが、若元春に次期大関の期待をしています。今後、12、13勝を挙げるために何が必要か。相手に先に上手を取られないことを心がけてほしいものです。

 大栄翔は春場所で12番勝ち、夏場所の10勝を加え2場所で22勝。連勝、連敗の多い突き押しですが、ここ数場所は安定感があります。テンポも良くなって今場所もしっかり肘が伸びていました。照ノ富士戦が組まれなかったのは残念でした。その悔しさを名古屋の横綱戦でぶつけることでしょう。

 ここ2場所で21勝の豊昇龍は力負けする相撲も何番かありました。今後は出足をもっと鍛えていければ嫌な存在にもなります。粗削りな面はありますが、そのぶん伸びしろもたくさんあるはず。仲のいい霧馬山が昇進しただけに、さらなる奮起を期待します。(元横綱・稀勢の里)

 《8月の龍ケ崎巡業に二所ノ関部屋が参加》8月3日に茨城県龍ケ崎市で開催予定の夏巡業に同県阿見町に部屋を構える二所ノ関部屋の参加が決定した。当日は十両・友風、夏場所で幕下15枚目格付け出しでデビューした大の里ら部屋の所属力士が稽古、取組に参加する。二所ノ関親方は「私の地元、二所ノ関部屋がある茨城県で巡業が開催され、大変うれしく思います。龍ケ崎巡業を盛り上げていければと思っております」と話した。

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