霧馬山 日本人の3倍!?遊牧生活で培った回復力 専門の医師すら驚く治癒能力

[ 2023年5月30日 05:10 ]

陸奥部屋に体験入門した時の霧馬山(後列左)
Photo By 提供写真

 【モンゴル6人目大関 霧馬山 過去・現在・未来 上】大相撲夏場所で11勝を挙げてモンゴル出身6人目の大関昇進を確実にした関脇・霧馬山(27=陸奥部屋)。遊牧生活で培った強じんな体、地道な努力の末に夢をかなえた霧馬山の軌跡と将来の可能性を連載でお送りする。

 出身地は首都ウランバートルから700キロも離れたドルノド県。霧馬山は辺境の地での遊牧生活で力士としての基礎を叩き込まれた。馬に乗ったり丸太を持ち上げ、10キロ以上の水が入ったバケツを運ぶなど毎日が稽古のような生活。強じんな体幹が出来上がるのは自然の流れだった。

 17歳からウランバートルに移り、柔道やモンゴル相撲を経験。2014年10月、大相撲入りを目指す少年3人とともに来日し陸奥部屋に体験入門した。当時、陸奥親方(元大関・霧島)は言語や食生活の壁を懸念し外国出身者の受け入れには消極的だった。関係者の懇願もあり「センスが良かった」と霧馬山を預かることを決断した。

 不安は的中した。ビーフジャーキーのような硬い肉しか食べることができず、野菜、魚は一切ダメ。言葉も分からず、ホームシックになることもあった。一人夜空を見ながら故郷を思うこともあったが、支えとなったのは「両親への親孝行」という強い思いだった。500グラムのステーキを平らげた後にさらに300グラム追加するなど、努力も実り1年で20キロの増量に成功した。

 遊牧生活で培ったのは「足腰の強さ」だけではない。幕下に昇進した16年夏に左膝のじん帯を痛めた。力士生命に関わる大ケガだったが、1場所休んだだけで土俵に戻ってきた。陸奥部屋後援会会長の室谷正明氏が証言する。「専門の医師が驚くほどの治癒能力。日本人の3倍はあるとかいわれ、回復が早い。育った環境もそうですが、持って生まれた特性でしょう」。“無事之名馬”で順調に出世街道を駆け上がっていた。

続きを表示

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

2023年5月30日のニュース