新十両・時疾風「早く対戦できるようになりたい」同学年の貴景勝、翠富士、錦富士らに対抗心

[ 2023年3月29日 18:03 ]

新十両昇進会見を行った時疾風(右)と師匠の時津風親方(撮影・前川 晋作)
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 日本相撲協会は29日、夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、時疾風(26=時津風部屋)と藤青雲(25=藤島部屋)の新十両昇進が決まったと発表した。

 エディオンアリーナ大阪で行われた会見に出席した時疾風は「やっと上がれたなという感じでうれしい。ドキドキもあるけど、ここからだという気持ちがあります」と笑顔で関取昇進の喜びを語った。

 東幕下3枚目で臨んだ昨年九州場所は、3勝3敗から敗れて昇進ならず。春場所は同じ地位で同じ3勝3敗で7番相撲を迎え、十両・栃武蔵を破って勝ち越して関取の座を手にした。得意の左四つ右上手からの速い攻めで十両力士に完勝。「理想の相撲というか、この形になれればこれからも勝てるのかな」と自信につながる白星だった。勝った瞬間は「師匠(時津風親方=元幕内・土佐豊)が(審判で)土俵下にいたので、師匠の顔を見てさらにホッとしました」と喜びを分かち合っていた。

 宮城県出身としては五城楼(現・浜風親方)以来28年ぶりの関取誕生。中学2年時に東日本大震災を経験した栗原市出身の時疾風は「落ち着いてから海岸の方を見に行ったら更地になっていて、中学生ながら“相撲で勇気づけられるのかな”と思った」と12年前を振り返る。「自分の相撲で少しでも元気を与えることができれば。強くなって有名になって地元の人に恩返ししたいという気持ちがありました」。被災した経験が、のちの角界入りへの原動力につながった。

 会見に同席した師匠や、兄弟子の幕内・正代、昨年引退した豊山らと同じ東農大出身。「みんな目標でした。自分も農大を出たからには(十両に)上がりたいという気持ちがあった」と先輩たちに続いた。

 同い年には、大関・貴景勝(常盤山部屋)や春場所大活躍の翠富士(伊勢ケ浜部屋)ら幕内力士が多数。全国高校総体3位の実績を持つ時疾風は同じ東北出身の錦富士(伊勢ケ浜部屋)を特に意識しており「刺激になりますね。高校の時からみんな知っていて話したりしていたので、早くそこで対戦できるようになりたいです」と幕内での対戦を見据えた。


 ◇時疾風 秀喜(ときはやて・ひでき)本名=冨栄(とみえ)秀喜。1996年(平8)8月25日生まれ、宮城県栗原市出身の26歳。小2から相撲を始め、宮城・小牛田農林高3年時に全国高校総体3位。東農大3年時に全日本大学選抜金沢大会8強、全日本選手権16強。4年時に全日本大学選抜宇和島大会8強、全日本大学選抜十和田大会3位、全国学生体重別無差別級8強。卒業後、時津風部屋に入門。19年春場所で初土俵。「時栄」のしこ名で同年名古屋場所で序二段優勝。22年春場所から「時疾風」に改名。1メートル78、130キロ。得意は左四つ、寄り。

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