関学大 甲子園ボウル5連覇 MVP前島「来年はミルズ杯を獲って父を超えたい」

[ 2022年12月19日 06:00 ]

第77回毎日甲子園ボウル   関学大34ー17早大 ( 2022年12月18日    阪神甲子園球場 )

<早大・関学大>5連覇を達成し、歓喜の関学大ファイターズ(撮影・北條 貴史)
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 オフェンスの力で、関学大が過去最多に並ぶ5連覇を達成した。後半に4TDを奪い、7度目の出場で初優勝を狙った早大を34―17で圧倒。史上最多を更新する33度目の学生日本一に輝いた。3TDをマークしたRB前島仁(3年)が甲子園ボウルMVP。ミルズ杯(年間最優秀選手)には、DLトゥロターショーン礼(3年)が輝いた。

 試合終了57秒前からが王者の時間だった。リードは10点。勝敗の行方はほぼ決しても、チームが甲子園ボウルの目標に掲げた4TDには足りない。敵陣42ヤードからのドライブ。第2ダウンでボールを受けたRB前島が密集を抜け出した。「オフェンスで勝つ、と言ってきたので、どうしても取りたかった」。5連覇を確定する30ヤード独走TD。背番号7は意地をプレーで体現した。

 「今年はオフェンスが不甲斐なくて、やっと最後にいい試合ができた」

 “守高攻低”のレッテルを覆す戦いを期した大一番。前半はTDを奪えず、チームに漂った重い空気を前島の決定力が吹き飛ばす。第4Q4分12秒、10分53秒と立て続けにエンドゾーンへ。攻撃を活性化させ、よみがえらせた3本のTDは、甲子園ボウルMVPのタイトルに十分値した。

 「勝利の立役者になれて、個人としても満足しています」

 声を弾ませたヒーローの父・純氏も、関学大往年の名ランナー。29年前の甲子園ボウルでミルズ杯に輝いた。「来年はミルズ杯を獲って父を超えたい」。偉大な背中を追う努力はまだ終わらない。

 前島と同じく、聖地を逆襲の舞台にしたのはQB鎌田も同じだった。シーズンを通して低調で、学生日本一を争う決戦でも、1年生QB星野に先発を譲る屈辱…。それでも第3Qの途中から司令塔の位置に入り、明らかに攻撃のリズムが変わった。「ずっと良くなかったランプレーが出せて、TDを取れて良かった」。顔に張りついていた苦悩の色は、もう消えていた。

 「前半バタバタしたけど、後半はいい試合ができた。満足?後半だけ、ですね」

 大村和輝監督は、最後の最後で復活したオフェンスを「らしい」表現で称えた。就任から3年連続で無敗のまま頂点へ。最強の称号を手にしたまま、前人未到の6連覇に挑む。(堀田 和昭)

 《トゥロターショーン礼がミルズ杯》DLとしてリーグ戦から関学守備陣の中核を担ってきたトゥロターショーン礼がミルズ杯(年間最優秀選手賞)に輝いた。「チームを支えながら自分のやるべきことをやった結果。自分だけの賞ではない」。2本のQBサックなどで甲子園ボウル5連覇に貢献。「大きな舞台で活躍できてうれしい。ディフェンスで0点でいこうと言っていたけど、点を取られた。オフェンスが取り返してくれた」。まだ3年生で「成長できることはまだある」と6連覇に挑む来季を早くも見据えた。

 《衣笠が存在感発揮》多士済々のWR陣で、衣笠が存在感を放った。チーム最多のキャッチ7回で、72ヤードをゲイン。「プレーコールがいつもより多かったけど、(TDまで)もっていかないと…」と反省も忘れない。チーム最速の足を持つスピードスターは最上級生となる来季、エースレシーバーとしての活躍が期待される。「4回生になると、自分だけでなく、周りのことも考えないといけないので」とすでに自覚を口にしていた。


《甲子園ボウル表彰選手》
 ▽ミルズ杯(年間最優秀選手)  関学大DLトゥロターショーン礼(3年)
 ▽甲子園ボウルMVP  関学大RB前島仁(3年)
 ▽甲子園ボウル敢闘選手  早大DL山田琳太郎(4年)

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2022年12月19日のニュース