渡部葉月 日本女子4人目&最年少18歳2カ月で「金」 女子平均台の繰り上がりシンデレラ

[ 2022年11月8日 04:08 ]

体操世界選手権最終日 ( 2022年11月6日    英リバプール )

女子平均台で金メダルを獲得した渡部葉月(AP)
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 種目別決勝後半が行われ、女子平均台は渡部葉月(18=中京ク)が13・600点で優勝した。世界選手権での金メダルは日本女子4人目で、18歳2カ月での獲得は最年少。補欠から繰り上がりで初出場し、頂点に立った。同じく初代表の宮田笙子(18=鯖江スクール)は銅メダルで、日本は同種目で2大会連続のダブル表彰台。男子鉄棒は東京五輪王者の橋本大輝(21=順大)が、昨年の前回大会に続いて2位で、今大会4個目のメダルを手にした。

 日本体操界にニューヒロインが誕生した。女子平均台決勝。7人を終えて首位につけた渡部は最終演技者の宮田の得点が表示され、優勝が確定すると、コーチ陣とハイタッチ。涙で濡れた顔を両手で覆った。

 「緊張して脚の震えも凄かったけど、大きなミスなく最後まで演技できたのは自信になる。まさかメダルを獲るなんて…まだ、あまり実感がないです」

 わずか幅10センチ。リスクと背中合わせの種目で堅実な演技が光った。際立つ大技は持っていないが、一つ一つの技を慎重に、丁寧にこなし、着地も決めた。出来栄えを示すEスコア(実施点)はトップの8・100点をマーク。2位と0・034点の小差で世界一の称号を手に入れた。

 まさにシンデレラストーリーだ。全日本選手権とNHK杯で個人総合4位に入ったが、正メンバーには選ばれなかった。だが、全日本女王の笠原有彩(レジックスポーツ)が故障で離脱したため、大会2週間前に補欠から繰り上がり。夏に痛めた左足首に不安を抱え、重圧もあって練習ではミスを連発していたが、仲間に「秘密兵器だから」と励まされ、たどり着いた初舞台で日本女子に最年少「金」をもたらした。

 憧れの選手は同じ愛知県出身の寺本明日香さん。所属クラブは違うものの、合宿で一緒になり、ストイックに練習する姿と「調子が悪くても結果を残そうとする」責任感に感銘を受けた。寺本さんは代役出場した11年大会での活躍を機に4月に引退するまで長く日本をけん引する存在となった。渡部は「次は最初からメンバー入りし、個人総合でも世界で戦える選手になりたい」とさらなる飛躍を誓った。

 ◇渡部 葉月(わたなべ・はづき)2004年(平16)8月7日生まれ、名古屋市出身の18歳。姉の影響で2歳で体操を始め、14歳だった19年NHK杯で6位と健闘。21年全日本ジュニア選手権で個人総合優勝を飾った。今年の全日本選手権、NHK杯はともに4位。愛知・東海学園高3年。1メートル59。

 《こちらも18歳・宮田は銅「信じられない」》新生日本のエース宮田は平均台で銅メダルを手にした。最終演技者として登場し、大きなミスなく演じ切ると、両手を何度も突き上げた。「自分の中では得意な意識のない種目でメダルが獲れて、信じられないぐらいうれしい」。渡部より誕生日が遅く、実はチーム最年少だが、エースとして全員が初代表というチームを目標の団体総合決勝に導き、個人でも初のメダル獲得。24年パリ五輪を見据え、「個人総合でメダルが獲れるように頑張っていきたい」と力を込めた。

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