新入幕20歳の熱海富士 半べそ稽古64番 照ノ富士からも指導「自分が情けない」

[ 2022年11月8日 04:15 ]

泣きながら照ノ富士(左)の指導を受ける熱海富士(撮影・前川 晋作)
Photo By スポニチ

 高卒史上最速の所要12場所で新入幕を果たした熱海富士(20=伊勢ケ浜部屋)が7日、都内の同部屋で大相撲九州場所(13日初日、福岡国際センター)に向けての稽古を行った。猛稽古で知られる同部屋の中でも、申し合いの番数はこの日最多の64番。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)や横綱・照ノ富士(30)から厳しい指導を受けて半泣きになりながらも必死に汗を流した。

 幕下力士の申し合いから土俵に入った熱海富士は、稽古終了まで2時間以上も相撲を取り続けた。「自分だけ2部練みたいな感じ」と、後半は幕内上位の翠富士や錦富士らとも熱のこもった稽古を展開。「関取に上がっても、若い衆の時より番数を減らさないように」と自らの意思で猛稽古を続けてきた。

 先週の新入幕会見では、同席した師匠から「同じこと何回言ってもできないですから」と厳しい評価を受けていた。この日も「足を出さないと取れないんだよ。なんでやらないんだ」と左上手の取り方を何度も注意された。なかなかうまくいかず、照ノ富士からも「立ち合いから言われたことやれよ」と声が飛んだ。普段から勝てば満面の笑みを浮かべ負ければ泣きそうな表情になる、喜怒哀楽の表現豊かな20歳。何度も怒られていると、稽古中に半泣きになってしまった。

 厳しい指導は期待の大きさの証。横綱に「まだ形ができていない。素質だけで(幕内に)上がっている」と言わせるほどの“未完の大器”だ。上手の取り方を直接指導した横綱は「鍛えれば鍛えるほど強くなる素直な子」と分析。「稽古量がキツくて泣いているわけではない。できないから悔しくて泣いている」と弟弟子の気持ちを推し量った。

 横綱からの貴重な指導に「うれしいです」と感謝しながら「できない自分が情けない」と反省した。「本当にどうしようもないですね」と照れ笑いするかわいらしい姿も魅力。稽古で泣いて、本場所で笑えるように、日々汗を流す。

 ◇熱海富士 朔太郎(あたみふじ・さくたろう=本名武井朔太郎)。2002年(平14)9月3日生まれ、静岡県熱海市出身の20歳。小6から三島相撲クラブで相撲を始め、熱海中3年時に全中8強。飛龍高2年時に国体団体戦4位。伊勢ケ浜部屋に入門し、20年九州場所で初土俵。21年初場所のデビューから夏場所途中まで20連勝を記録。22年春場所で新十両。1メートル85、177キロ。

 ◆名跡変更 日本相撲協会は7日、元小結・千代鳳の佐ノ山親方(30=本名木下祐樹、鹿児島県出身、九重部屋)が年寄「大山」を襲名したと発表した。

続きを表示

2022年11月8日のニュース