二所ノ関親方が秋場所占う 唯一無二の“両おっつけ”で若隆景は大関狙える 11日初日

[ 2022年9月11日 05:30 ]

若隆景(右)
Photo By スポニチ

 大相撲秋場所が11日に、東京・両国国技館で初日を迎える。10日は土俵祭りが行われ、八角理事長(元横綱・北勝海)らが15日間の安全を祈願した。小結・阿炎が休場したものの、23年ぶりに3関脇、3小結となるなど若手の台頭も目立つ。スポニチ本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は左右のおっつけを武器とする関脇・若隆景(27=荒汐部屋)の躍進に期待を寄せた。

 阿炎の休場は残念ですが、三役の枠が増えて場所の楽しみは増えました。次期大関争いで、誰が抜け出すことができるか。以前から注目している若隆景に期待します。本人は「まわしを取って安定感を出したい」とも発言しているようですが、彼の最大の武器は強烈なおっつけ。そこをさらに磨きつつ、体幹のぶれない前傾姿勢を確立させることを柱にしてほしいと思います。

 特筆すべきは左、右、両方のおっつけが強いこと。現役では唯一無二の存在です。攻撃的でもあり、かつ守りでも威力を発揮できる。おっつけられた相手は全く力が入らず、体が浮き上がってお手上げ状態。自分の経験からも相手が軽く感じます。若隆景の代名詞。まだまだ良くなると信じていますし、こんなものではないはずです。

 常に指摘していますが、難敵・照ノ富士の壁を今場所こそ破ってほしい。まわしを取りにいっては勝機なし。得意のおっつけで相手を浮き上がらせることに集中することです。場所前には荒汐部屋に来た横綱に胸を借りることができた。それをプラスにして優勝へと突き進んでほしいものです。

 新関脇の豊昇龍も注目です。非凡な運動神経の持ち主も自分の型が定まっていません。それは霧馬山も当てはまりますが、型をつくることで戦闘力は高まります。体重が軽いので劣勢になると持ち味が出せない。鋭い出足から先手先手で攻めることが勝率アップにつながります。

 大関もそろそろ優勝しないと、存在を忘れられてしまいます。3人の中では貴景勝でしょうか。安定感がありますし、序盤で崩れなければ、いつ優勝してもおかしくない実力の持ち主です。正代は名古屋場所の後半で見せた出足のついた相撲は自信になったはず。鬼門の序盤を乗り切れれば、期待も膨らみます。横綱は体調が万全なら優勝候補の筆頭ですが、膝の状態が心配です。15日間を考えると、早い相撲を取ることが問われます。(元横綱・稀勢の里)

 《優勝額かけ替え、二所ノ関親方初Vの17年初場所外れる》両国国技館の天井近くに掲げられる優勝額のかけ替えが10日に行われ、大関時代の17年初場所で初優勝した二所ノ関親方の額が外された。優勝額は計32枚で、年3度の東京開催場所の際に2枚ずつかけ替え。30歳の初制覇でファンを熱狂させた記念の優勝額が国技館から消え、二所ノ関親方は「実際になくなると寂しいものがある。思い出深いし、あっという間の5年間だった」と話した。初優勝の額は部屋を構える茨城県阿見町に一時的に寄贈し、公民館に飾られる予定だという。

続きを表示

2022年9月11日のニュース