阿炎 照ノ富士撃破!土俵際で逆転勝ち、無心で狙う初賜杯「どれだけ自分の相撲を取れるか」

[ 2022年7月11日 05:25 ]

大相撲名古屋場所初日 ( 2022年7月10日    ドルフィンズアリーナ )

照ノ富士(手前)を送り出しで破る阿炎(撮影・亀井 直樹)
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 1横綱2大関が敗れる波乱の初日となった。夏場所優勝の横綱・照ノ富士(30=伊勢ケ浜部屋)は小結・阿炎(28=錣山部屋)に土俵際の逆転負けを喫した。大関・貴景勝(25=常盤山部屋)は霧馬山(26=陸奥部屋)に、カド番の正代(30=時津風部屋)は琴ノ若(24=佐渡ケ嶽部屋)にそれぞれ敗れた。また、今場所は新型コロナウイルス感染拡大後では初めて観客数に制限を設けずに行われた。

 最後まで諦めない執念が呼んだ逆転勝ちだった。立ち合いもろ手突きの阿炎は、照ノ富士を起こしきれず左の前まわしを与えてしまった。突き押しからの引きも決まらず。土俵際、右からの小手投げで体を入れ替えて送り出した。得意とする技ではなかったが「全力で何かした時にチャンスが転がってくる」と前日話していた通り、思い切りの良さが結果につながった。

 先場所は何もできずに完敗しており、横綱撃破への具体的な作戦を考えるよりも「とにかくがむしゃらに」と体の反応に任せた。「必死に体を動かしたら勝てた」。これで照ノ富士との対戦成績は昨年九州場所の初顔合わせから2勝2敗の五分とした。

 部屋の兄弟子で元十両の彩(いろどり)が夏場所限りで引退した。自身が幕下で低迷していた時に叱咤(しった)激励してくれた恩人であり、埼玉県草加市の道場で相撲を始めた小学生の頃から世話になっていた先輩でもある。「最後まで応援しているからな」と言葉を掛けられたといい、「がっかりさせないような相撲を取りたい」と決意を新たに臨んでいた。

 先場所は千秋楽で負け越したが、3場所連続で三役の座を維持している。勝ち越しや2桁など次につながる数字や番付は意識せず「どれだけ自分の相撲を取れるかだけを意識している」という。最高のスタートを切った今場所の目標も「今は考えていない」。無心で突き進んでいった先に、昨年の九州場所と今年の初場所で惜しくも逃した初優勝のチャンスも転がってくる。

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2022年7月11日のニュース