投げにこだわらず“勝ち”にこだわった阿部

[ 2022年4月4日 05:30 ]

丸山城志郎(左)を破り、優勝した阿部一二三(代表撮影)
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 【上水研一朗の目】阿部と丸山の結果を分けたのは、勝敗へのこだわりだったように思う。勝ちに徹した阿部は、相手の帯を持って動きを抑えることで、1つ目と3つ目の指導を誘発した。以前は投げにこだわる柔道だったが、代表決定戦や東京五輪を経験し、投げ切れなくても勝てるという柔軟な対応力が身についている。今大会は反則による決着が多く、審判が厳しく指導を取る傾向も頭に入れ、試合を組み立てるうまさも光った。コンディションに関してもしっかり戦える状態をつくってきていた。

 一方の丸山も投げにこだわる選手で、この日は自分の強さを貫こうとする姿勢が見て取れた。決勝ではスイッチを切り替えるかと思ったが、あくまで自分の柔道に徹した。パリ五輪に向けた両者の争いは始まったばかりで、代表決定までに今後も数回は直接対決の可能性があると思われる。両者ともに、まだまだ勝負どころは先と見据えているはずだ。(東海大体育学部武道学科教授、男子柔道部監督)

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2022年4月4日のニュース