一二三 丸山を返り討ち “令和の巌流島”から476日 五輪王者の進化見せた 5年ぶり3度目V

[ 2022年4月4日 05:30 ]

柔道全日本選抜体重別選手権最終日 ( 2022年4月3日    福岡国際センター )

丸山城志郎(左)を破り、優勝した阿部一二三(代表撮影)
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 男子7階級が行われ、66キロ級は東京五輪金メダルの阿部一二三(24=パーク24)が決勝で丸山城志郎(28=ミキハウス)との因縁の対決を制して5年ぶり3度目の優勝を飾った。大会後の強化委員会で両者ともに10月の世界選手権(タシケント)代表に選出され、24年パリ五輪の代表争いが幕を開けた。81キロ級でも東京五輪金メダルの永瀬貴規(28=旭化成)が出場6大会連続優勝を果たし、代表入りした。

 五輪王者となった阿部が、一回りも二回りも成長した姿を見せつけた。20年12月13日の東京五輪代表決定戦以来476日ぶりとなった丸山戦。相手が得意とする内股を見透かしたように受け切ると、延長戦に入りギアを一段階アップ。前に出て攻め立て、守勢になった相手に3つめの指導が行き決着した。3年ぶり有観客の会場に、感情むき出しの雄叫びを響かせた。

 「五輪王者ということを証明するために戦おうと思っていたが、しっかり証明できた。王者になり気持ちの面で少し余裕ができた」

 技による決着は1回戦だけだったが、男子代表の鈴木桂治監督も「投げられそうな雰囲気は全くなかった。五輪王者の意地が備わり、大きく成長したと思う」と称える。丸山戦では五輪に向けて強化した足技で相手の警戒心を高め、精神的に追い込んだ。20年12月の対戦では24分間の長期戦になったが、今回は6分38秒で明確に差が付いた。

 五輪を終えて燃え尽きるアスリートもいる中、阿部は異なった。「さすがに心と体が疲れたが、1カ月ちょっとでトレーニングを再開した」と秋口に再始動。原動力は五輪を戦い「まだまだ進化できると感じた」という思い。「技術では足技が良くなっている。崩しを成長させれば、もっと柔道に幅が出る」とあくまで貪欲だ。

 リードを広げた形のパリ五輪代表争いだが、19年に続いて両者が選出された。柔道ファンにはたまらない展開に「パリまで全勝して2連覇したい」と阿部。その表情は自信で満ちあふれていた。

 ≪丸山敗戦も前向き≫決勝で敗れた丸山は「結果はダメだったが、内容的には悪くなかった。今後につながる試合ができた」と充実感をにじませた。準決勝では若手成長株の田中を得意の内股で破るなど、存在感をアピール。2連覇中の実績なども加味されて世界選手権代表に選出された。阿部との五輪代表争いは今後も続くが、「一つ一つ(の大会)をクリアして、その先にあるのがパリ五輪。目の前の壁をクリアしたい」と話した。

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2022年4月4日のニュース