“面白くない”から10度日本一、帝京大・岩出監督の改革 「4年生は神様」撤廃、今や常識に

[ 2022年1月10日 05:30 ]

ラグビー第58回全国大学選手権決勝   帝京大27ー14明大 ( 2022年1月9日    東京・国立競技場 )

<帝京大・明大>胴上げされる帝京大・岩出監督(撮影・篠原 岳夫)
Photo By スポニチ

 96年に就任し、同年度の大学選手権で初勝利をもたらした岩出監督。新興校を着々と進化させた。

 まずは勝てるラグビーを模索する中で、徹底したフィジカル強化によるFW戦スタイルを構築。02年度には大学選手権で初の4強入りを果たし08年度には早大の連勝記録を53で止めて対抗戦初制覇。ボールが動かず、一部から“面白くないラグビー”と批判されたが、勝ち癖が付いた。

 大学内では人脈を構築して協力を取り付け、総合私学の強みを生かした。医学部の協力を得て血液検査や体組成測定を導入し、体づくりやコンディショニングに反映。09年度から連覇が始まると、中期以降はボールが動くスタイルも構築。堀江翔太や中村亮土、姫野和樹と、OBは次々に日本代表に上り詰めた。

 組織づくりでも「4年生は神様」とされた上下関係を撤廃。上級生が掃除などの雑務を行い1年生がラグビーだけに集中できる環境をつくった。全国から集まる有望株は1年目から才能を発揮。こうしたスタイルは大学ラグビー界に浸透し、日本のレベルを一段も二段も上げた。

 ◇岩出 雅之(いわで・まさゆき)1958年(昭33)2月21日生まれ、和歌山県出身の63歳。現役時代は日体大主将として78年度大学選手権優勝を経験。滋賀県で教員となり八幡工高を7年連続の花園出場に導く。高校日本代表監督を務めた後、96年に帝京大監督に就任。11年には医療技術学部スポーツ医療学科教授に就任した。現役時代のポジションはフランカー。

続きを表示

2022年1月10日のニュース