今年の大坂は「泣かない」、4カ月ぶり復帰戦勝利「観客の前でプレーするのは本当にいい気分」

[ 2022年1月5日 05:30 ]

女子テニス メルボルン・サマー・セット1第1日   〇大坂 6ー4 3ー6 6ー3 コルネ● ( 2022年1月4日    オーストラリア・メルボルン )

試合中におどけた表情を見せる大坂
Photo By ゲッティ=共同

 昨年9月の全米オープン敗退後に休養に入っていた世界ランキング13位の大坂なおみ(24=フリー)が、シングルス1回戦で世界ランキング61位のアリーゼ・コルネ(31=フランス)に6―4、3―6、6―3で競り勝った。今大会は2年連続3回目の優勝が懸かる全豪オープン(17~30日、メルボルン)の前哨戦。昨年11月に本格的に練習を再開し、約4カ月ぶりの実戦で白星を挙げた。2回戦は世界82位のマリナ・ザネフスカ(28=ベルギー)と対戦する。

 昨年の全豪オープンで優勝トロフィーを掲げた思い出のコート。約4カ月ぶりの復帰戦を白星で飾った大坂は「この場所に戻ってこられてうれしい。観客の前でプレーするのは本当にいい気分」と喜びをかみしめた。昨年5月に2年以上前からうつに悩まされていることを告白。試合後の会見では「今年の目標はただ一つ、コートに立ったら楽しむこと。そして、記者会見では二度と泣かないようにしたい」と語った。

 第1セットは一度も自分のサービスゲームを失わずに先取。第2セットも3―1とリードしたが、そこからミスを連発して逆転されて落とした。嫌なムードが漂う中でも「凡ミスが多かったが、最初の試合なので想定していた」と冷静さを保った。最終セットは持ち味の強打を発揮して圧倒。凡ミス58本、第1サーブ成功率38%と本調子にはほど遠い状態で、2時間2分の熱戦を制した。

 19年1月の全豪オープン後に世界ランキング1位に就いてからは重圧に苦しみ続けた。昨年は試合後の会見で何度も号泣。会見が中断したり、途中で打ち切られることも多かった。休養直後は「22年はほとんどプレーできないと思っていた」と言うが、家族や友人と多くの時間を過ごしながらテニスとの向き合い方を整理。「テニスが好きだと理解できた。私は結果やランキングを気にしすぎるタイプだった。試合を楽しむ方法をまた見つけたい」と再びコートに戻る決意を固めた。

 苦難を乗り越えてリスタートし「シーズン最初の試合は誰にとっても本当にタフ。かなり緊張したけどうまくできたと思う。結果には満足。今はここに座っていることが幸せ。次の試合はもう少しエネルギッシュにプレーできたらいい。もっと試合をこなす必要がある」と視線を上げた。2年連続3度目の優勝が懸かる全豪の前哨戦だが、結果を意識しすぎずエンジョイする。

 【会見拒否以降の経過】

 ▽21年5月27日 ツイッターで3日後に開幕を控えた全仏オープンで取材に応じないことを表明。「アスリートの心の健康状態が無視されている」と理由を説明した。

 ▽同30日 全仏1回戦勝利後の会見を拒否。罰金1万5000ドル(約165万円)を科された。4大大会の主催者は違反が続けば、全仏失格、他の4大大会で出場停止となる可能性を通告する異例の共同声明を発表。

 ▽同31日 ツイッターで全仏の棄権を表明。「18年の全米オープン以降、長い間うつに悩まされてきたことが真実」と告白した。

 ▽6月17日 同28日開幕のウィンブルドン選手権の欠場が決定。

 ▽7月6日 マネジメント会社を通してコメントを出し、東京五輪出場を正式表明。

 ▽同27日 東京五輪女子シングルス3回戦で世界42位のボンドロウソバ(チェコ)にストレート負け。試合後は通過が義務付けられている取材エリアを通らなかった。日本代表の土橋監督から呼び戻されて、涙ながらに取材に応じた。

 ▽9月3日 2年連続3度目の優勝を目指した全米オープン3回戦で世界73位のレイラ・フェルナンデス(18=カナダ)に敗戦。試合後の会見で「しばらく競技から離れようと思う。次にいつ試合に戻るか正直分からない」と休養に入る方針を示した。

 ▽11月5日 自身のSNSで練習再開を報告。「少しなまっているが戻ってこられて良かった」とつづった。

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