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専門家に聞く「ボールをよく見て打て」は本当に正しい?遼も美誠も、なぜ一流はアバウトに見るのか

[ 2021年10月18日 09:21 ]

石川遼
Photo By スポニチ

 ゴルフの石川遼と卓球の伊藤美誠から、「打つ時にボールをはっきり見ていない」と聞いたことがある。競技が異なる一流が同じ感覚でいることに驚いた。同時に、疑問が湧いた。野球をはじめ、スポーツで頻繁に耳にする「ボールをよく見ろ」という教えは、本当に正しいのだろうか。

 日本スポーツビジョン協会の長田夏哉理事長(52)に話を聞いた。見解は「トップアスリートであればあるほど、目で見ているだけでなく、体全体でものをとらえることがある。凝視すると、とらえる感覚を失うことがある」とのこと。良かった。私の疑問は的外れではなかった。目を見開いて球をじーっと見ても、ヒットを量産できるわけではないのだ。

 適切な方法は「まず重箱全体を眺め、次に重箱の隅を見ること」だという。目の動きが「ズームアウトからズームイン」にパッパっと切り替わることで、体が素早く動くそうだ。瞬時の反応が求められる卓球も野球もその他のスポーツも、相手の全体像をぼんやりと見て、“ここ”というタイミングでボールを見た方が、うまくいくようだ。

 もし、「ボールに書いてある文字を当てる」というゲームなら、一点凝視が好成績を生むかもしれない。しかし、スポーツは、見た後に体を動かさなければならない。手足に「動け」と指令を出すのは「脳」。視覚だけでなく、気配の察知や感覚も動員して脳に多くの情報を集めることが、素早い神経伝達につながるため、スポーツのパフォーマンスには、「目だけでなく、脳や全身で見る。体全体のシステムとしてものを見ることが必要」と長田理事長は説くのだ。

 止まっているボールのゴルフも同じで、構えから球を凝視しても、ダフりの解消は約束されない。目だけでなく、“ボールがこの辺にある”という感覚を磨くことが重要だ。

 長田理事長は整形外科医。スポーツドクターだからこそ、目と体が連動する「ものの見方」を研究し、見るトレーニング方法も確立している。思ったような結果が出ない選手は、一生懸命見ることをやめるのも、一つの手かもしれない。(記者コラム・倉世古 洋平)

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