パパになった矢野東、13年ぶりツアー制覇へ2差2位「流れくればなんとかなる」

[ 2021年9月19日 05:30 ]

男子ゴルフツアー ANAオープン第3日 ( 2021年9月18日    北海道北広島市 札幌GC輪厚C=7063ヤード、パー72 )

<ANAオープン・3日目>18番、ラウンドを終え笑顔を見せる矢野東(撮影・西尾 大助)
Photo By スポニチ

 ツアー3勝のベテラン、矢野東(44=ラキール)が67で回り、通算13アンダーで首位に2打差の2位につけた。右肘のケガなどで低迷していたが、08年に優勝した相性の良い大会で13年ぶりのツアーVに挑む。11位から出た大槻智春(31=真清創設)が64の猛チャージで通算15アンダーまで伸ばして単独首位。石川遼(30=CASIO)は68の通算9アンダーで10位と盛り返した。

 地獄を見た男は強い。腰や肘のケガでシード権を失い、どん底の苦しさを味わった矢野が久しぶりに優勝争いの舞台に戻ってきた。

 「ショットが朝の練習の時から悪くて、スコアだけ良かった感じです」と手探りのラウンドだったが、44歳のベテランはしたたかだった。ティーショットが曲がっても、ラフやバンカーから巧みにピンに寄せ、5番では5メートルの難しいパットを沈めて、首位に2打差の2位と絶好の位置でホールアウトした。

 08年に2勝を挙げ賞金ランク2位に入った。しかし、椎間板ヘルニアなどの影響で14年にシード落ち。さらにスイングの悪癖が原因で右肘を負傷し「痛みで全く振れなくなった」。17年に手術を受け完治したものの、試合に出られない日々が続き、ここ数年はゴルフスクールの運営やYouTubeなどに活動の比重を移していた。それでも19年から河野勝成コーチの指導でスイング改造に取り組み、昨年行われたツアー出場予選会でトップ通過を果たし、復調のきっかけをつかんだ。

 3歳の長女・七楓(ななか)ちゃんと1歳の長男・新(あらた)くんが心の支えになっている。「今はゴルフが100%じゃない」と試合のない週の土日は全くクラブを握らず、子供たちと過ごすのが日課だ。「長女にはいつも試合に行かないでと泣かれています。つらいです」と笑う。

 最終日に最終組で回るのは16年のレオパレス21ミャンマーオープン以来だが、気負いはない。「まあノンビリやります。流れさえくればなんとかなると思っています」。欲をかかず、静かにチャンスを待つ構えだ。

 ◇矢野 東(やの・あずま)1977年(昭52)7月6日生まれ、群馬県出身の44歳。10歳でゴルフを始める。群馬・富岡高―日大。00年にプロ転向。05年アサヒ緑健よみうりメモリアルで初優勝。08年には2勝を挙げ、年間獲得賞金は1億円超え。ツアー通算3勝。家族は妻と長女、長男。1メートル76、73キロ。

続きを表示

2021年9月19日のニュース